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新戦法のための準備完了




 修業三日目。


 レベリングだけの修業は今日まで。

 明日からはレベリングと並行して組手の修業や各自それぞれの戦いかたを練習していく予定だ。


 その下準備も着々と進んでいる。

 ジルドをはじめとした囚人たちの新装備をゲンさんとヒグロさん、そしてジュリアンに製作してもらっているが、どれもこれも設計の段階からバカみたいな発想が自重なく盛り込まれている。


 まあ主にアイデアを出したのは俺だけど。

 ……言い出しっぺの俺が言うのもなんだけど、ノリノリで作るほうも作るほうだと思うの。





 今日のレベリング場は第3大陸の魔獣空中庭園。

 空中庭園ってなんだよとか思われるかもしれないが、普通に陸が浮いてる魔獣のテリトリーが存在するっていうね。


 第3大陸は魔族に荒らされた挙句、魔獣たちのスタンピードに蹂躙されてしまって、人類の生活圏が著しく縮んでしまっている。

 そういった土地を取り戻すためにもこいつら囚人を鍛えて根気強く魔獣を狩り続け、広がりすぎたテリトリーを縮小する必要があるんだとか。

 まあ今日のレベリング場は別に元々人類圏ってわけじゃなく普通のテリトリーだけど。




「ちょちょちょ、ちょっと、待てぇ!! なんだよこの陸地! 上下に動いて全然まともに動けねぇぞ!」


「うっぷ、よ、酔った……」


「あはははは世界が回ってマスねうふふふふ」


「ところどころに安定してる足場もあるだろ。動く陸地に対応できないなら早く移動しろ。あとルルベル、回ってるのは世界じゃなくてお前やぞ」



 この空中庭園、まるでアクションゲームのアスレチックコースの如く陸地がひとりでに動いていて、不安定な足場ばかりで立っていることすら難しい。

 下手すると三半規管や平衡感覚に支障をきたして足を踏み外し、そのまま奈落の底へ真っ逆さまなんてこともあり得る。

 『天駆』を使えれば落下しても復帰することはできるだろうが、まだスキルレベルが育っていないこいつらには無理だ。


 なーんでこんな奇天烈な地形が出来上がったのやら。

 誰かが人為的に遊園地でも作ったところに魔獣が住み着いたとか?



≪このテリトリーに人の手はほぼ入っていない。魔獣を討伐にきた人間が多少地形を崩した形跡以外は全て自然に形作られた模様≫


≪陸地が浮遊・移動している原因は、地中に風や地属性の魔石が大量に含まれており、それらが引力・斥力を発生させているためと推測≫



 自然が作り出したアスレチック、というにはあまりにも不自然な気が……。

 一定の間隔で動き続けている地形がやたら多いけど、アレも全部自然にできたものなのか。

 まあ不安定な動きをする足場なんかは明後日の方向へ飛んでいったりして淘汰されて、安定した動きをする地形だけが残ったと考えれば割と無理がない、のか?




『ガヴァルァァァアアアッ!!』


「おい、ワイバーンだ! 早くまともな足場に飛び移れ!」


『ピィギャァァァアアッ!!』


「こ、こっちに大きな鳥型魔獣が!」


『キキキッ! キキキキッ』


「うぉあっ!? こ、コウモリまでいるのかよ!」


「デカいのばっかに気をとられてるとちっさいヤツに足掬われるぞー注意しろー」


「いや、教官アンタなんでそんな余裕でいられるのよ!? こっちは立ってることすら大変なのに!」



 そりゃ魔力飛行で微妙に浮いてるからね。

 多分そんなことしなくても余裕で対応できるだろうけど、地形に揺られてるのにも飽きてきたし。




「のぉわあああぁあああああっ!!?」


「おおおおい!? ギルカンダのオッサンが落ちたぞぉぉお!!」


「レイナ、回収よろ」


「あのまま墜落させればいいんじゃないっすかね」


「それじゃ死んで終わりだろ。まだまだ地獄を見てもらわにゃ困る」


「なるほど、そういうことならちょっと釣り上げてくるっす」


「……二人とも、あの人に全然気を使ってない」


『ピ』



 あのクソ親父への対応なんてこれくらいで充分だ。見捨てないだけありがたいと思え。

 差別してメシや装備をケチったりもしてないし、なんならあの親父専用の装備も発注してるしな。




 んー、このテリトリーって地形だけじゃなくて生息してる魔獣もなかなか危険度が高いな。

 空を飛んでいる魔獣ってのはそれだけで脅威だ。安全圏から頭を狙われることになるからね。


 天駆や魔力飛行が使えないとなると、遠当てや投擲、あとは攻撃魔法なんかで対応することになるがどれも命中させるのが難しい。

 そのせいで思ったよりも討伐が上手くいかん。……場所ミスったかなこりゃ。



「こんのやろぉぉおおおあああああっ!!」


『ゴビョバッ!!?』


「あ、当たった! ……お、レベル上がった! ジョブチェンジできるみてぇだ!」



 おおっと、ジルド君、ヤケクソで投げた手鎌が見事にワイバーンの額にクリーンヒット。

 そのおかげでレベルが上がって、晴れて上級職のレベルに辿り着いた。


 ふむふむ、先日の熟練度稼ぎの甲斐あって『投擲』『鞭術』『槌術』のスキルが増えてるな。

 やっぱジョブチェンジした時のスキル熟練度上昇値えぐいわ。一気に3つも新規スキルを獲得してるし。



「よし、新しくスキルを獲得できたな。これで例の戦法を使う準備が整った」


「……こんな組み合わせでどんな戦いかたするんだ? 正直、あんまり想像がつかないっつーか、無理がねぇか?」


「そんなことはない。なにせこの組み合わせから繰り出す技は千年前の勇者が編み出して思った以上に強かったけど結局失伝して誰も使わなくなった戦法だからな」


「いや失伝って途絶えてるじゃねぇか!? どうやって教えるんだよそんなもん!」


「大丈夫大丈夫。一応文献には残ってるし、俺も試してみたけど慣れれば相当強いと思うぞ。ミスったら自分の頭に鎌が突き刺さることになるけど」


「やっぱやめる!! んなアブねぇ戦法使えるわけねぇだろ!!」


「いやいや、騙されたと思ってやってみろって。頭に刺さってもすぐに治療すればギリギリ蘇生できるから安心して死ね」


「今までアンタの『安心しろ』は不安しか生んでねぇんだぞ! 自覚あんのか! ……てか今死ねっつったか!?」



 えー? 決して嘘は言ってないのにー。そんな怒涛のツッコミを連続で入れなくてもええやん。

 しょうがない、後でちょっとお手本を見せますか。


 午後からは囚人たちを下がらせて、ジルド君に伝承する戦闘スタイルのお披露目をすることに。

 あと例の義足が今日の夕方には完成するらしいから、夕食の後にメイバールに試運転させてみよう。


 ミラームとクソ親父とルルベルの新装備はもうちょっと後になりそうだが、今はそれでいい。

 どれもこれも変態装備ばっかで扱いに困りそうだし、まずはジルドとメイバールの戦術を完成させることから始めよう。


 なんか最近更新ペース遅いですが、ゴメンナサイ魔が差して息抜きに悪役令嬢モノの短編書いてマシタ(;´Д`)

 ロナもこっちもほっといてなに書いてんだと思われるかもしれませんが、反論の余地もございません申し訳ない申し訳ないすみませんごめんなさいorz

 あ、ちなみにコレです↓



 転生先の悪役令嬢が『自分』を取り戻すまで https://book1.adouzi.eu.org/n6624ho/

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 9/5から、BKブックス様より書籍化!  あれ、画像なんかちっちゃくね? スキル? ねぇよそんなもん! ~不遇者たちの才能開花~
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