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60 急がば回れ



 ゲームと現実(リアル)を行き来して何日もこの雪原――というか氷の大陸――を突き進んでいる。

 いい加減飽きたぞ。夜中にスノーボードもどきを自作したくらいには。

 蝋が無かったので油を圧力をかけて固める手間すら楽しかった。


 とにかく見渡す限り白白白!

 空すら白い!……すまぬ、流石に空は青かった。時折煌めくけど。

 とにかく、マップ機能が無ければ、自分は進んでいるのか戻っているのかすら分からなかっただろうと思うくらいには雪と氷しかない。


 戦闘で暇を紛らわそうにも、出てくるモンスターが強すぎて殆どパッセル任せである。

 見つけたら奇襲しているにもかかわらずこの体たらく。かといって逃げても追いつかれ、隠れても見つかる。

 今も目の前で、氷を生やした白熊が毛皮と肉になった。


「パッセルって攻撃は雷しか使えないのか?」


「チュン、チュン!」


 だめだ、翻訳(フェアリーズ)が居ない。

 しかしまあ、もぞもぞと上着の中から腹を蹴りだしたので、多分他の攻撃手段もあるのだと思う。あるんじゃないかな。あるといいな。

 うごうごしている服の上を押さえつける。パッセル、地味に痛いからそろそろやめような。




《ダンジョン15-1/3を発見しました》


 水のない堀のような溝を跨いだらアナウンスが。

 15。15……!?

 うーん、凄いのだろうか、よくわからないのでダンジョン名は放置しよう。


 恐らくこのダンジョンで私は軽く死ねる。ダンジョンの外の魔物ともまともに戦闘出来ないのだ。

 だが、跨いだ溝の向きは私の進行方向と垂直に交わっている。地平線の彼方まで続いているように見える。

 これを迂回するとなると、大変な回り道になるのは想像に難くない。

 しかし見渡す限りの氷景色はいい加減飽きた!早く緑が見たい!つまり突破一択!

 全力で駆け抜ける!




「はあっはあっ、まだ、追ってくるのかよ……っ!」


 全力で駆ける云々は比喩のつもりであったが、現在比喩でもなんでもなく息が切れるほど走っている。

 イエティがイエティイエティしている。

 じゃない、モップゴリラの群れが迫ってくる。ちなみにダンジョンに入ってから五度目だ。

 ペンギンになら殺されてもまあ良いのに!ゴリラはなんかヤダ!


「ウッホウッホ」


「ウッホホイエッホウ」


 げっ!慌ててスノーボードに装備を変える。圧倒的に速くなったメニュー画面からの変装である。


 直後、猿為的に引き起こされた雪崩が襲ってくる。

 独特なウホウホ音は雪崩と言う名の範囲攻撃の予備動作であるらしい。

 最初に群れに遭遇したときは埋まって死ぬかと思った。時間をかけて退かしたが、もう二度と埋まりたくない。


 雪の大波で命懸けのサーフィン。

 波からポコポコ飛び出すゴリラ。

 自作の団子型杖を構え、ひょろひょろの火の玉を飛ばす。刀は折れた。

 ……おのれ、のろくて当たらない!普段使わないから仕方ないが当たれ!


「――チュン!」


 しばらく逃げ続けていると、パッセルにしては気合いの入った一声があがる。

 途端、何条も走る稲光。

 転がる毛玉とか毛皮諸々(ドロップ)

 敵は一掃された。


 殆ど何もしていないが、とりあえず汗を拭う。


「パッセルお前凄いのな」


「ぴ」


 絶縁体の魔物が出なければパッセルは無敵なのではなかろうか。腹の中から顔すら出さないが。

 なんにせよ助かった。うっかり【逃げ足】も進化したし、レベルは爆上げである。




 手作り木刀での攻撃が有効になってきた頃、ようやく溝を跨ぐ。

 やっとダンジョン出たぜ。ダンジョン内での宿泊は本当にドキドキするな。目覚めたらザイーンだったとか、ここまで来て残念すぎる。


「おお、あれは街……街?」


 朝の光の中、氷のカマクラ郡が見える。とりあえず現実(リアル)を無視すれば大体十日ぶりくらいの人との接触である。

 うむ、漁帰りっぽい大男がたくさんいるな。モコモコした毛皮の服を纏い、手に手にアザラシを引き摺っている。


「こんにちは」


「××××!」


「え?」


 ヤバイぞ言葉が分からない!とりあえずゆっくり手を挙げよう。

 お互いに言葉が理解できないことを向こうも覚ったらしい。

 獲物を脇に置くと、片足立ちになり両手を水平に伸ばす。他の人たちも皆真剣な表情でやっているので、私もやる。


 見つめ合うこと9秒。

 握手に至る。

 バシバシ肩を叩かれた。痛い。




 少し落ち着いて、身振り手振りでコミュニケーションを図る。細かいことはよくわからなかったが、これから村に帰るらしい彼らに付いていくことになった。

 意外となんとかなるものである。


《三十分間、言葉以外での意思疎通を図ったことにより、【肉体言語】を得ました》


 何かが致命的に違う気がするのは私だけか?




名前(ネーム):ジャン・スミス Lv.40

種族:人間 性別:男性

職業:【気分屋】

HP:171

MP:369

STR:32

VIT:29

INT:51

MID:75

AGI:125

DEX:138

LUC:90


称号

【混沌神の玩具】【運命神の憐憫】【怠惰神の親愛】【無謀】【マゾ】【命を弄ぶ者】【妖精郷の歓迎】【黄泉の道化師】【探検家】【妖樹の友】【界渡り(魔)1/1】【悪戯小僧】【変異種】【補佐官】


スキル

戦闘

【盾】【刀】【奇襲】【会心の一撃】【空駆け】【バランス感覚】【毒耐性】【夜目】【逃げ足(一)】【肉体言語】


魔法

【魔法陣(一)】【生活魔法】【詠唱】


生産

【細工(初)】【採取】【料理】【木工(一)】【解体】【伐採】【書画(初)】【調合】


その他

【運】【薄影】【痛覚耐性】【読書】【識別】【木登り】【地図】【効果】【魔道具】【妖精化(玄)】【指導】【分解】


特殊

【混沌】【手抜き】【六文銭】


備考

もしかしてパッセルが鳴いたの初?寒いためか主人公の腹から動く気はないようです

水平線まで地球基準だと4キロくらいですが、戯れの惑星ではどうなんでしょうね~

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