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怪盗な季節☆   作者: 大野田レルバル
終堕な季節☆☆
199/210

超空

どんどん水平線が黒く塗りつぶされる。

青空だったはずの空までも。

真っ暗になっていくのはたくさんの点があるから。

なんて数だよ。

それだけ大量の敵を見てもシエラもメイナも動じてはいなかった。

むしろ、笑っていた。


「波音、例のやつ。

 敵は僕たちがやっとくから。

 あなたはあなたの使命を果たして」


周りで怯えている味方にゲキを飛ばし、シエラは両足を地面にめり込ませた。

この行為だけでもう何をするのか理解した。


「開幕、ぼくとねーさんのこれくらう飛行機はかわいそう」


そのシエラの横でメイナも同じく地面に足をめり込ませる。

大型ナクナニア光放出砲を使うんだろう。


「いいのよ。シエラ、敵なんだから。

私達の使命はこの、どじで間抜けを守ること。

違った?」


「違わない」


「波音。

 ちゃんとあんた助けなさいよ?」


任せろ。


「T・D。

 俺もついていくぜ。

 一人だと何するのかわかんねぇからな」


仁はそういうと俺の横に来て、にこにこと笑っている。

ありがたい。


「ハニー僕は……もー邪魔だなぁ」


「そんなこと言わないでさぁ。

 あたいと一緒にデートしようよー」


「うっとおしい!」


「そういわずにー!」


セズクが何か言おうとしてるみたいだけどラウナにひたすら遮られてる。

まぁどうせろくでもないことだろうからこの際、いいかなと思う。


「きちんと助けてくるのよ。

 あのこいいこだからあんたのこと絶対信じて待ってるんだから。

 いいわね?」


メイナが顔だけこちらに向けて同じことをもう一回言ってきた。

その体は大型ナクナニア光放出砲の発射体勢に入っておりくるくると円のものが前で回っている。

それはシエラも同じでこちらははじめから無口だからもう何もしゃべることはないらしい。


「じゃあ、お主ら。

 ここは頼んだ。

 言ってくる」


「ああ、ハニーちょっとまっ、おい邪魔!」


「せーずーくーっ♪」


俺は仁と顔を見合わせて頷くと空へと舞いあがった。

高度五千メートル付近にてイージスを展開する。

帝国群の滑走路から次々と戦闘機が飛び立ち、港からは巨大な戦艦ヴォルニーエルが飛翔を開始していた。

超極兵器級の堂々たる姿に安心感を覚え、そこに乗り最前線で指揮を執っている元帥の姿がちらりと艦橋から見える。

元帥も俺を見つけたのだろうか。

まっすぐに強化ガラス越しでこちらを見てくると小さく首を縦に振ってくれた。

行ってきます。


「仁、ど真ん中に突っ込むぞ!」


「はいよ!」


敵も一直線に向かってくる俺達に気が付いたらしい。

ヴォルニーエルに群がろうとしていた敵戦闘機及び最終兵器モドキが一斉に俺をめがけてやってきた。

数なんて数えれないほど。

面倒だがなぎ倒しながら進むしかない。

片手を剣に、もう片手をレーザー砲へと変えるとその集団の真ん中へと突っ込んだ。


「うるぁあああ!!」


まず俺に掴みかかってこようとした奴の腹へと剣を突き刺す。

ぐったりしたその体を剣から引き抜かないまま次の敵へと刃を傾けた。

レーザー砲は少し遠いところから砲撃を加えてくる敵へと向けて横に薙ぎ払うように発射し続ける。

それにしても数が多い。

いくら最終兵器でもこれだけ敵がいられるとすごくきつい。

当然右は仁がカバーしてくれているから左からくる敵にだけ集中すればいいのだがいかんせんそれがまた難しい。


「うっとおしいんだよぉお!!」


左だけからくるかと思えば仁が漏らした右からくることもある。

なにより空中というのが逆に不利な体勢だったかもしれない。

少し群れから離れ遠距離から少しずつ削っていこうかと思った瞬間図太い青レーザーが目の前を通り過ぎて行った。

今までそこにいた百を超える敵が一斉にして消滅する。

発射元は言うまでもなくシエラかメイナだろう。

助かった。

レーザーが切り開いてくれた道を通ってハイライトへと向かう。

ハイライト付近に展開していた戦艦がシエラのレーザーを喰らって爆発し、落ちて行く。

その瓦礫の中に混ざるように突っ込み、敵の視界にとらわれないようにしてハイライトの壁へとたどり着くことに成功した。


「仁、大丈夫か」


「……ああ。

 いやー死ぬかと思った本当に」


「俺も死ぬかと思った」


爆発炎上していく戦艦の瓦礫に隠れれて本当によかった。

おかげで俺達を見つけている奴は誰一人としていないだろう。

俺が捕まっているこのハイライトの場所は右端らへんだと思う。

ハイライト自体がでかすぎてわけわからん。


「出かけるときに元帥からデータを貰ってきた。

 こいつを使おう」


お、仁らしい行動だね。

ありがたい。

仁が腕時計のように腕に付けているPCの画面にハイライトの地図が表示される。

これの……ああ、ど真ん中にてアリルは発見されていたらしい。

となると――。


「とりあえずど真ん中に行ってみるしかないってことだな」


「そうなるなぁ。

 まーなんていうか。

 うん、がんばろうぜ」


そりゃがんばるさ。

当然だろう。

気のせいか仁の顔が少し曇ってしまったような気がした。


「あーどこからはいるよ」


「えー……。

 そうだな、どうするかね」


辺りを見渡したら答えが返ってくるより早くハイライトの壁が縦に開いた。

その開いた壁の奥から鈍く光を跳ね返しながら砲身が現れる。

これはあれか。

例の列車砲だろう。


「ここから入るしかないな」


お互い目を合わせて隙間から中へと侵入した。


「大切なものが消えるとき

 三つの死は姿をあらわす。

 死は力を使い地上を無に戻す。

 死は鬼神となり

 恐怖の中で消えていく。

 大切なものを失った悲しみと共に――か」


なんだ、どうしたんだよ仁。

急に。

俺の怪訝そうな目を見て仁はあわてて手を振った。


「いや、意味なんてないぞ?

 ただ、な」


ばつが悪そうに眼を逸らした仁はまだ何か言いたそうにしていたが今はそれどころではない。


「とりあえず、さっさと先に進もうぜ」


仁に俺はそういうと開いた隙間からハイライトの中へともぐりこんだ。

ずっと前に俺がもぐりこんだ時とははるかに状況が変わっていた。

ボロボロだったはずの天井は綺麗に鋼鉄で修復されており列車砲の腐り落ちた線路も復元されている。

兵器として利用することが出来ない、までボロボロだった列車砲は美しく輝く紫色の光を携えておりその砲門がずらりヴォルニーエルの方を向いているようだった。

てっきりたくさんの兵士がいるかと思ったがそんなことはなくただ静かな無人の空間がそこには広がっていた。


「ここで別れるか?」


俺は仁に聞いてみたが


「いや、ここでばらばらになるのは逆によくないだろう。

 お前の姫を助けるまではともに行動しようじゃないか」


と言われ、じゃあついてこいとジェスチャーを交わすと俺は天井へ向けて一発レーザーを放った。

正直こんな中から行けるわけないだろ、外から直接攻めるわ。

崩れてきた天井を回避して、開いた穴から抜け出す。

これなら別に中に入らなくてもよかったんじゃないかと思ったがそこらへんは、まぁ。

あれだ。

気にしたら負けだ。

天井の穴から抜け、その光景を眺めたとき俺は驚いて少し動きを止めた。

自然と街があったはずのハイライトには何一つそれらは残っていなかった。

中央の島に堂々とした巨大な艦橋と、その艦橋を囲むように大口径三連砲が配置されている。

さらに巨大な砲身が四本空へと延びておりあれは弾道レーザーの発射台だろうと予測した。

ここから見る限り二本の滑走路が確認できる。


「うぉっ!?」


真上で爆発が生じ思わず身をかがめる。

連合群と帝国群の軍隊がぶつかり始めていたようだ。

ハイライトの真上で、戦闘機同士がドッグファイトを繰り広げている。

ミサイルの白い煙が竜のようにうねり、絡み合っていた。

完全に俺達には気が付いていないらしい。


「いくぞ、仁」


「はいはい」






              This story continues.


ありがとうございます。

はじまってしまいましたねぇ。

最後の戦争が。

がんばれ。



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