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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第4章 アタシと、コルデア家
766/777

4-≪ 340 ≫

≪ 340 ≫


 フランツさんは不意に辺りを見回した。

 ……つい5分前までは賑わっていた、噴水前の広場。

 なのに『長角族』――この一言で、辺りから人が消え失せた。

 

「見ただろ? 『長角族』の名を聞いた人々の反応。皆、長角族を恐れてるんだ。奴らの事を口に出したがる人族はまずいない。そのせいで書物に記載されないことも少なくない。誰もが記憶から消し去りたいと願っても、決して消える事がない歴史の暗部なんだ」


「名前聞いただけで逃げ出すレベルの、ヤバい種族……?」


 アタシが聞くと、フランツさんは無言のままゆっくりと頷いた。

 言葉にはしがたい複雑なその表情を見て、アタシは興味本位で聞いてしまった事を今さらながら後悔した。

 ここではないどこか遠くを見つめるフランツさんの口から、人族と長角族の長い長い昔話が語られた。





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