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でも、今回ばかりはフランツさんに賛同することはできない。
フジサキは1ヶ月ちょっと前まで、ただの携帯端末機だったんだ。
いくら人の形をしていても、アタシ達のような柔軟な思考がまだ完全には備わっていない。
むしろ、良くやってくれていると思う。
アタシが命じればその通りに行動してくれるし、まだまだ発展途上ではあるが自分から色々思考して動くこともある。
実際、アタシはフジサキがいてくれるだけで救われている。
身を挺して守るとか、アタシのせいでフジサキが傷つく事なんか望んでいない。
フランツさんには申し訳ないが、フジサキを『最低』なんて言われる筋合いは無い。
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沈黙を守るフジサキに対して、さらにフランツさんが何か言おうとした。
彼の口が言葉を放つより先に、アタシは割って入った。
「フランツさんにはとても感謝しています。でも、これ以上フジサキを悪く言わないでください。フジサキはフジサキなりのやり方でアタシをフォローしてくれてるんです。フジサキの事を何にも知らないフランツさんに『最低』なんて言われる筋合いはありません」
震える声で自分の気持ちをぶつけると、フランツさんは驚いた顔をして開きかけていた口を噤んでしまった。
命の恩人に対してアタシはとんでもない事を言ってしまった。
……そう、頭では分かっていたが――この憤りを抑える事が出来なかった。
アタシは、フジサキを非難されたのがどうしても許せなかった。
「マスター、私へのお気遣いは無用で御座います。フランツ様が言われた事は、紛う事なき事実。私の落ち度で御座います。配慮が足りず、申し訳ございません」
「ううん、フジサキは悪くないよ」
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