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やはりコルデア家のメイド見習いになった以上、先輩にはちゃんと挨拶しないと。
「あのっ……チヒロと申します。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、これからよろしくお願いします!」
大声でそう言ってペコッとお辞儀をすると、焦げ茶色の髪の青年は「ああ」というようにアタシの顔を見てにっこりと笑った。
「よろしくね。僕はマルコだよ、チヒロ」
「マルコは私たちのいいお兄ちゃんなんだよ。説教臭いのが玉にキズだけどね!」
「シェナが怒られるようなことをしなければいいんだけどね」
「えー!? あれはハルが悪いんだよー!」
……後で聞いたんだけど、マルコさんは執事見習いの一人で、執事の仕事以外だと食材や備品の管理、街の市場調査など、主に頭脳仕事を担当しているらしい。
歳は23歳で、同い年のフランツさんのことをとても尊敬していて、彼のような立派な人間になりたいと思っているそうだ。
シェナの言う通り、本当のお兄ちゃんみたいな優しい穏やかな人だよ。アタシは『マルコ先輩』と呼んでいる。
……とは言っても、説教臭いのは確か……。
でも、アタシ達はコルデア家の召使として働いてるんだから、責任を持ってやるのは当たり前だよね。
そういうところがきちんとしていて、アタシ達に対しても飴と鞭をしっかり使い分けているところとか、大人だなあと思う。
……って言ったら、本人はどんな顔をするかわからないけど……。
★チヒロの【 H point 】は、【 1pt 増加 】しました。
「あれ? 兄貴、こんなところで何してんだぁ?」
「ハル! お前を探していたんだよ!」
「俺ぇ?」
「馬小屋の飼い葉が減ってるみたいだぞ。新しい荷も来てるし……まだ運んでないんじゃないか?」
「あっ、いっけねー!」
「ほら、行くぞ」
マルコ先輩を『兄貴』と呼んだのは、同じ執事服を着た赤髪の青年。
鼻の上には横一文字の傷跡がある。
マルコ先輩はアタシとシェナに「じゃあね」と言うと、引っ張るようにして赤髪兄さんを連れて行ってしまった。
シェナが「あれがハルだよ」と教えてくれた。20歳だって。
『ハロルド』という名前らしいが、仲間内からは『ハル』の愛称で呼ばれているそうだ。アタシは年下なので『ハル先輩』と呼ばせてもらっている。
歳は20歳で、しょっちゅうシェナにちょっかいを出しては2人で喧嘩している。
執事見習いの一人で、執事の仕事以外に荷物運びや庭の剪定、馬の世話などの力仕事を担当しているらしい。
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