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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第4章 アタシと、コルデア家
731/777

4-≪ 305 ≫

≪ 305 ≫


 アタシとフジサキだけになった広い客間。

 静か過ぎて、逆に落ち着かない。手持ち無沙汰を解消するために持ち上げたカップが音を立てる。

 カチャリという小さな音すら、大きく誇張されて聞こえた。


「先程は――ありがとうございました」


 何か言わなきゃと思っていた矢先、先に沈黙を破ったのはフジサキだった。

 あの唐変木のフジサキがアタシにお礼を言った?

 アタシが、フランツさんとの間に入って代わりに謝ったから?


「べ、別に。自分の持ち物にケチ付けられた気がして、それ以上聞きたくなかっただけだから……」


 アタシは、吐き出すのを必死に抑えた紅茶を無理やり喉に流し込んで、ぶっきらぼうに返す。

 実際は唐突なお礼に心臓バクバクで、動揺で手を滑らせない内にカップをソーサーに戻したけど。


「今、私が感じているこの不可解な胸部のざわつきが、人間の言う『嬉しい』という感情なのでしょうね」


 自分の胸にそっと手を当てたフジサキは、噛みしめる様に囁いた。

 アタシは両目を見開いていた。

 フジサキの表情には、ぎこちなさは残るものの喜びがにじみ出ていた。

 でもそれはほんの一瞬で、瞬きをした瞬間にいつもの無表情に戻ってしまった。

 しばらくフジサキの顔を食い入るように見つめていたけど、だんだん可笑しくなってきて、アタシはプッと噴き出した。

 フジサキが新たな人間らしさを手に入れた瞬間だった。


「……まぁ、どういたしまして」


 笑いをかみ殺しながら、とりあえず返事をする。

 フジサキはいつもの「はて?」というような顔をしていたものの、前よりも表情が柔らかい気がした。



★チヒロは【 Key word 】の【 人間 】を入手しました。





 このまま、≪ 155 ≫ へ進んでください。


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