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1-≪ 69 ≫

≪ 69 ≫


「いでよ! ご都合主義のチートパワァーッ!! ハァアアアアアッ!!!」


 息を大きく吸い込んで、アタシは叫んだ。

 グッバイ兎。手加減できなくてすまんね。

 だが、アタシ達を食べようとしたお前が悪い。

 天国で自分の愚かさを悔やむがいいさ。

 そうしてアタシは、突き出した右手に『力』を集中させた。

 よっしゃぁああ! いったれぇえええッ!!


 …。

 ……。

 ………。

 …………。

 ……………。


 あっれれぇ~? おかしいなぁ~?

 おい、誰だ。

 異世界転生と転移した奴には特殊能力が備わってるとか、ガセネタ流したの……。


 シン――と辺りは静まり返った。

 ゆうに十数秒、その場にいる誰もが動かなかった。

 風が吹き、木の葉がアタシ達とうさぎの間を舞った。


 突き出したアタシの拳は、シャイニングを放つ事もロケットなパンチが飛ぶ事も、ましてや亜空間から武器や召喚獣を呼び出すこともなかった。


 いっやぁあああ!! は、恥ずかしいいいいッ! 

 穴があったら飛び込んで、そのまま上から土をかけて、墓標を立てて欲しい。


「マスター。それは一体、なん……」

「何も聞かないでッ!! 聞かなかったことにしてッ!!!」


 アタシには何のチート能力も実装されていないようです。

 ガ、ガッカリダナァー………。



★フジサキの【 Physical 】は、【 2pt 増加 】しました。





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