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「いでよ! ご都合主義のチートパワァーッ!! ハァアアアアアッ!!!」
息を大きく吸い込んで、アタシは叫んだ。
グッバイ兎。手加減できなくてすまんね。
だが、アタシ達を食べようとしたお前が悪い。
天国で自分の愚かさを悔やむがいいさ。
そうしてアタシは、突き出した右手に『力』を集中させた。
よっしゃぁああ! いったれぇえええッ!!
…。
……。
………。
…………。
……………。
あっれれぇ~? おかしいなぁ~?
おい、誰だ。
異世界転生と転移した奴には特殊能力が備わってるとか、ガセネタ流したの……。
シン――と辺りは静まり返った。
ゆうに十数秒、その場にいる誰もが動かなかった。
風が吹き、木の葉がアタシ達とうさぎの間を舞った。
突き出したアタシの拳は、シャイニングを放つ事もロケットなパンチが飛ぶ事も、ましてや亜空間から武器や召喚獣を呼び出すこともなかった。
いっやぁあああ!! は、恥ずかしいいいいッ!
穴があったら飛び込んで、そのまま上から土をかけて、墓標を立てて欲しい。
「マスター。それは一体、なん……」
「何も聞かないでッ!! 聞かなかったことにしてッ!!!」
アタシには何のチート能力も実装されていないようです。
ガ、ガッカリダナァー………。
★フジサキの【 Physical 】は、【 2pt 増加 】しました。
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