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「おい、チヒロ、何をボーっとしてるんだよ!」
ハル先輩にドンと背中を叩かれて我に返る。
そうだった。まかない料理の話だった。
「ハル先輩! フジサキなら一つ、それらしき物を作れるかも!」
「本当か!? じゃあ、今日は二人がまかない当番ってことで、任せたからな!」
「あ、ちょっ……!」
ハル先輩は「うひょー、楽しみだぜー」とか叫びながら、ものすごい勢いで走り去ってしまった。
ちょっとちょっと、肝心のフジサキはどこにいるかぐらい教えてくださいよ。
もう、しょうがないなあ……。
アタシは大きな溜息をついたものの、少しワクワクしながら早足で歩き始めた。
アタシが「まかない料理にカレーうどんを作って!」とお願いすると、フジサキは「承知いたしました」と無表情で答えた。
だけど心なしか、嬉しそうだったと思う。
アタシも玉ねぎの皮を剥いたり、手伝えることは手伝ったけど……。
使用人の皆からはすこぶる好評で、『フジサキ特製のスパイシーなスープパスタ』という名前で、フジサキが食事当番の時のまかない料理に追加されていた。
……ついでに言うと、アタシの料理ができなさ加減も伝わったのか、アタシにはまかない当番は回ってこないことになった。
……元の世界との違いに疲れることも多いけれど、これだけは言っておこう。
コルデア家のメイド見習いになったアタシは……今、ちゃんと心から笑っているよ。
~ 7th Scene End ~
★チヒロの【 C point 】~【 I point 】を必ず記録しておいてください。
★チヒロの【 Key word 】を必ず記録しておいてください。
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