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そのとき、玄関の扉が勢い良く開いた。
全員でそっちを見ると、息を切らしたアイネがズカズカと入ってきた。
アイネの姿を見て、ロバートさんは今までにない満面の笑顔で出迎えた。
「お兄様、私は負けてなんかいないわよ! ちょっと油断していただけよ! お帰りなさい、お父様」
「おお、我が愛しの娘アイネ! 父さんが帰ってきたぞ、お帰りのハグを……」
「お父様、スキンシップはお風呂に入ってからにして!」
両手を広げて受け入れ体制万全のロバートさんだったが、それを即座に拒否ったアイネ。
これは、遠回りに『パパ臭い! 近寄らないで!』って言われたようなもんだ……。
ハグを断られたロバートさんは、シュンと目に見えて落ち込んでしまった。
獲物に襲い掛かるヒグマから威嚇するコアリクイに――。
ドンマイ! ロバートパパ。
アイネはアタシをギロリと一睨みした後、隣に立つフジサキの姿を見た。
するとフジサキもその視線に気がついたのか、アイネの方を見た。
アイネは大袈裟なぐらいにギクリと肩を強張らせてから少し頬を染めていた。
でも、すぐに『ふん!』とそっぽを向いてエレノアさんを呼びつけると自分の部屋に行ってしまった。
ふーむ……アイネはフジサキに負けたのがトラウマにでもなってるのかな?
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