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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第4章 アタシと、コルデア家
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4-≪ 270 ≫

≪ 270 ≫


 さて、チヒロがいなくなった事に気が付いた3人。

 立ち寄った肉屋の前で立ち往生していた。


「どうしよう、ビアンカッ! チヒロがいなくなっちゃったよぅ!」

「全くあの子は……。だから、よそ見するなって言ったのに。何処に行っちまったんだろうねぇ?」


 慌てた様子で両手をブンブンと振り回すシェナと、頬に手を当ててため息を付くビアンカ。

 購入した肉が入った大袋を軽々と抱えるフジサキだけが1人平然と立っている。


「お2人とも落ち着いてくださいませ。マスターも小さな子供ではございません。屋敷への帰り道は把握しているはずですので、心配せずとも自力でお帰りになられるはず……。もし迷っていたとしても、私達はマスターを探しつつ買い物を続行いたしましょう」


 慌てる事もなくそう言うフジサキを、ビアンカとシェナは見返した。

 彼の意見は的確だ。チヒロも小さな子供ではないのだから、帰り方ぐらいは知っているだろう。

 もし迷っていたとしても、自分達2人にとってこの町は慣れ親しんだ庭だ。すぐに見つけられるだろう。

 しかしだ。


「ねぇ、ビアンカ。フジサキさんって結構、チヒロに対してドライだよね……」

「主人に対してあの言いよう……アイツは本当にチヒロの召使なのかねぇ。未だに信じられないよ」

「うんうん」


 無表情な上に抑揚のない声で話すフジサキからは、チヒロを心配する素振りは一切感じられなかった。

 そんなフジサキに背を向けて、会話を聞かれない様にビアンカとシェナはヒソヒソ話し合った。

 この場にいない迷子のチヒロに、顔を見合わせて同情するビアンカとシェナであった。





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