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家族……。
ここでもまた、新しい家族が出来た。
受け入れてもらえた事は、素直に嬉しい。
でも、アタシはローナ村の村長夫妻の事を思い出していた。
またあの時みたいな悲しい別れが来たら? と不安が過ぎる。
すると誰かの手が肩に置かれた。
見上げると、そこにいたのはフジサキだった。
「過去とは過ぎ去った物の事。マスターは今現在を生きておられるのです。この時を楽しみ、次に進む為の糧にする事は、何ら罪な事では御座いません。ですから、あまり深くお考えにならない方が宜しいかと」
「……うん、そうだよね。ありがとう、フジサキ」
「いえいえ。このようにマスターを諭し正しき道に導くのも、私の務めで御座います」
そう言って頷くフジサキは、どこか誇らしげだ。
そうだね。くよくよ考えていても仕方がない。
元の世界に帰るために……一歩一歩、確実に進んでいこう。
このまま、≪ 52 ≫ へ進んでください。




