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仕方ない、もう少し丁寧に説明してみよう。
「例えばですよ? 勇者は最初は普通の少年なんです。行方不明になった父を探すために、何か手掛かりを得ようと、父が消息を絶った山に必死で登るんです」
「けなげだね」
「そこで山の精霊により精霊魔法を授けられ、やがて自分の運命を知り、各地の精霊を救い、最後は聖柩の試練を乗り越えて『勇者の力』を得るんです。しかし魔王の手下に国王殺しの濡れ衣を着せられ、祖国に居られなくなった勇者は仲間と共に世界へ旅立ち、世界の命運を賭けた長く果てしない戦いへと突入していくんです」
「――国王……殺し……」
フランツさんの表情がみるみる曇り、呻くような言葉が漏れた。
……ん? あれ?
この話に、そんなに感情移入しちゃった?
アタシが100時間以上ハマった、ちょっと古いゲームなんだけどさ。
「マスター、ほどほどにされた方がよいかと思います」
「えー、だってさ、あれ名作だよ?」
「そういう問題ではございません」
フジサキとそんなやりとりをしていると、フランツさんがハッとしたような顔をして慌てて笑みを作った。
「ああ……いや、何でもないよ」
「そうですか……」
フランツさんの表情が何だか辛そうだったのでそれ以上何も言えなくなり、アタシは仕方なく引き下がった。
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