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まずは3人の意見を聞いてみよう。
じっと待っていると、ハル先輩が少し呆れたような溜息をついた。
「死ぬってお前……いっくらアイネお嬢様がお前の事嫌ってたって、殺しまではしないだろうよ」
「その意見には僕も同感だなぁ。チヒロは少し大袈裟に考えすぎなんじゃないかな?」
身も蓋もない見解を言う2人に、アタシは床に両手を勢いよく突いた。
アタシだって、そんな風に考えたくなんてないさ。
でも、相手があのアイネだと思うと否応無しに身の危険を感じてしまうのだ。
「2人はアイネお嬢様に凶器を突き付けられた事がないから、そんな事が言えるんです! あれはマジでアタシを殺る気の目でした。そんなお嬢様と密室に2人きりになったら、翌日アタシは冷たい無残な姿で発見される事間違い無しですよ!」
「だ・か・ら、考えすぎだっつの! いくら気性の荒いお嬢様でもコルデア家の名誉に関わっちまうような大それた事しねーよッ!」
「マスター。不躾ながら言わせていただきますが、私もハロルド様の意見に同感でございます。アイネ様は決して、そのような事をするお方ではございません」
この場において、フジサキとハル先輩がアイネ側に寝返った。
この裏切り者共め!
残るはマルコ先輩だが、彼は先ほどから1人考え込んでいる。
アタシは見捨てないでオーラを放ちながらマルコ先輩を見つめた。
そしてフジサキの隣から立ち上がると、『何だよ、押すなよ!』と文句を言うハル先輩をシッシッとフジサキの方に押しのけて、マルコ先輩の隣を奪い取った。
「マルコ先輩は、どう思います? やっぱり……アタシの考えすぎですかね?」
黙りこむマルコ先輩を至近距離で覗き込むと、バッチリ目が合った。
アタシがパチパチと瞬きすると、マルコ先輩は一瞬、頬を赤く染めて慌てたように目を逸らした。
何? 見てんじゃねーよって事? ちょっと、ショックなんだけど……。
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