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「……ここにも、いない……?」
アタシは人でごった返す八百屋の前で、当たりをキョロキョロ見回した。
確か、肉屋に行ってから野菜を買うって言ってたから、八百屋にさえ辿り着ければ会えると思ったのに。
ここじゃないの? 違う八百屋?
……確かに、マルトゥスの商店街にはいろいろなお店がある。八百屋だって肉屋だって一軒だけのはずがない。
「へい、いらっしゃい! おらー、見てみろこの山芋! 立派だろ―!」
「あら、本当!!」
「こんなのダンナが食っちゃったら、夜寝る暇もないぜ、奥さーん!」
「もう、バカ言ってんじゃないよ!!」
…………。
うん、ちょっと「庶民」な感じがする。コルデア家御用達の八百屋じゃなさそうだ。
雰囲気は、元の世界の八百屋に近いけどね……。
知らない間に、街の中心部から少し外れたところに来てしまったようだ。
正面の道には各家の洗濯物がずらーっと干されていて白いものがハタハタとなびいているし、もう一方の道の両脇は塗装もされていない黄土色の木の板が、そのまま塀代わりに雑に並べられている。
★チヒロは現在、【 八百屋の前 】にいます。
●○●CHOICE TIME!●○●
「黄土色の塀の道に進む」
…… ≪ 202 ≫ へ進んでください。
「白い洗濯物の道に進む」
…… ≪ 275 ≫ へ進んでください。




