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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第4章 アタシと、コルデア家
660/777

4-≪ 234 ≫

≪ 234 ≫


「あの……何か、すみません」


 口からするりと出た言葉は、そんなぼんやりとした謝罪だった。

 そもそもはフジサキが妙にフランツさんに突っかかるから悪い。

 フジサキの不手際は、所有するアタシの不手際だ。


「どうしたの? 何で謝るんだい?」


 フランツさんは足を止めて振り返ると、小首を傾げた。


「あの……何て言うか……」


 ごにょごにょ言いながら、ちらりと見上げる。いつの間にか、フランツさんがアタシのすぐ傍まで来ていた。 


「何か、不安でもあるのかい?」

「不安と言えば……えーっと……出来る事なら、会いたくないなぁ、とは思います。その……ちょ、何とか族に。いつか元の世界に帰る方法を探しに旅に出て、道端でばったり遭遇したりしたら、アタシ戦えないですし……身を守るすべがないなぁって思いまして」

「……僕が守るよ」


 フランツさんは、急にまじめな顔をして言った。


「……え?」

「大丈夫。この鉄壁のマルトゥスにいる限り、奴らが襲撃してくる事はないから安心していい。それに……万が一現れても、僕が必ず君を守るから」


 その言葉には一点の曇りもなかった。

 フランツさんは、本当にアタシの事を守ってくれる気でいるんだと思う。


 でも、その言葉を素直に受け取れない自分がいた。

 『君を知りたい』と言った彼が――『君達に何が分かる』とアタシ達を突き放したこと。

 君達――そこにはフジサキだけじゃない、アタシだって含まれている。間違いなく。


「何で……アタシにそこまで良くしてくれるんですか?」


 彼の真意が知りたくて、思わずそんな疑問を口走った。


「君は……その。隊長から預かった監視対象だからね」

「ああ……」


 監視対象だから守る――当たり前か。何を期待してんだアタシは。

 ちょっとガッカリしてしまった雰囲気を察したのか、フランツさんは困ったように眉を下げた。


「それだけでも……ないけどね」


 最後にそう付け加える。

 ハッとして顔を上げると、フランツさんはもう前に向き直って歩き始めていた。


 ――それだけでもないなら、何があるんです?


 さすがにそう聞くことはできなくて、アタシは黙ってフランツさんの後をついていった。


 それにしても……長角族か。いつか何処かで遭遇する事になるのだろうか?

 もし出会ってしまったら、アタシはどうすれば良いんだろう?


 これから先の未来が真っ暗な気がして、アタシは途方に暮れた。





                        ~ 3rd Scene End ~



★チヒロの【 X point 】は【 9pt 】、【 Y point 】は【 1pt 】となります。

 必ず記録しておいてください。


 このまま、≪ 130 ≫ へ進んでください。

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