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「あの……メイドの仕事ってどんな感じなんですか?」
「え? そうだねぇー」
ふむ、と暫く考えるような素振りをしてから、ビアンカ姉さんは一人納得したように頷いた。
「やっぱりシェナと一緒に働いてもらうのがいいだろうね」
「え?」
「シェナー、ちょっとー!」
ビアンカ姉さんの声に、少し離れたところにいた金髪のツインテールの女の子がたたたっと走ってきた。
「なあに、ビアンカー?」
「チヒロに仕事を教えてあげな。歳も近いようだし……その方がチヒロも気が楽だろうしね」
「おっけーい!」
シェナは元気よく返事をすると、アタシを見てニコッと笑った。
そばかすがキュートな、可愛いメイドさんだ。
「私はシェナ。よろしくね、チヒロ。さ、行っくよー!」
「え? え?」
シェナはアタシの背後に回ってその背をグイグイと押した。
急かすようなその行為に驚いていると、彼女の声が背後から響いた。
「ほらほら、メイドの仕事はいっぱいあるんだから! こんな所でボーっとしてたら、エレノアさんに怒られちゃうよ。お話はお仕事しながらしようね!」
そうしてアタシに仕事の説明をしながら、シェナはいろんな事を聞いてきた。
『チヒロは巫女様だったんでしょ? 巫女様ってどんなことするの?』
と聞かれて、
『特に何もしていないよ』
と答えると
『へー。巫女様って退屈なんだね。ここで仕事する方がきっと楽しいよ!』
と手を動かしながら、コルデア家のメイド達の話をしてくれた。
メイド長が、初日からいろいろお世話になっているエレノアさん。
さきほどのビアンカ姉さんに、マーサ先輩。
マーサ先輩はとにかく謎が多い。
ビアンカ姉さん曰く『マーサは、アタシより上だよ』との事だが、童顔なのかそうは見えない。
ブロンドの髪を三つ編みにした眼鏡の女性で、いつも抑揚のない声色で喋るから、喜怒哀楽もいまいち掴めないんだよね。
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