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意気揚々とエントランスホールに突入したアタシは直立不動の体勢を崩せずにいた。
かきたくもない冷や汗がダラダラと止め処なく背中を伝っていく。
フランツさんは『気さくな人だから大丈夫』って言っていたけど、アタシの目の前にいる人はどう見たって「気さく」の部類に入る人じゃない。
「お帰りなさい、父さん。ご健在で何よりです」
「そう言うお前も元気そうじゃないか、フランツ。副隊長としての働きはエリックからの書簡で見た。上手くやっているみたいじゃないか」
「エリックやグレッグに比べたら、僕なんてまだまだだよ」
久しぶりに対面した親子の会話が和やかに続いている。
アタシはって言うと、フランツさんとフジサキに挟まれて無言のまま立っている。
折角の親子の会話に水を差したくはないからね。
ここは黙ってやり過ごすに限る。
だってさ、フランツさんのお父さんを一目見たら、大体の人はアタシみたいになっちゃうと思うよ。
この人はあれだ、裏から世界を操るお仕事をしてる人だ。
そういうオーラが体中から迸ってます。
懐に銃とか刀を忍ばせてみかじめ料の回収したり、仕事に失敗したり掟破りをした仲間に『小指を詰めろ』とドスを手渡したり、コンクリ詰めに氷漬け、薬漬けはお手の物――。
つまり、マフィアものとか任侠ものの映画に1人は必ずいる、強面担当の人だ。
ヤベェよ。これ、アタシの知ってる『気さく』と違うやつだわ。
浅はかだったわー。
●○●CHOICE TIME!●○●
「とりあえず俯いて大人しくしておく」
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「フランツさんのお父さんをよく観察してみる」
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