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とは言っても、アタシもフジサキの事は良く分からんしなぁ。
そもそも元携帯端末機だったヤツに、恋愛感情なんてオプションは付いているんだろうか?
イケメンで知識量は豊富だけど、肝心の中身は記憶しないと、面白くも何ともないヤツなんだよ?
これは相手が悪すぎる。アタシじゃ役に立てないし……丁重にお断りしよう。
「あの……ですね、アイネ様? アイツはぱっと見あんな感じですが、人間的にはちょっと欠陥があると言いますか……」
だって元iPh●neだし。人間じゃないからね。
「アイネお嬢様が好きになるのは、何と言いますか……」
「す、すすす好きとかそう言うんじゃないわ!」
いや、そんな顔を真っ赤にして言われても……。
「ち、ちょっと興味があるだけなのよ。家の者以外に槍を止められるなんて初めての事で……。あの日以来、あの人の事が頭から離れなくなってどういう人なのか、趣味は何なのか、想い人はいるのかとか! 色々、知りたくなって! で、でも話しかけようといざ、目の前に行くと顔がボーっと熱くなるし、胸もドキドキしてしまって、気が付くとその場を走り去っているの。こ、こんな気持ち初めてで、何が何だか分からないのよッ!!」
アイネ、人はそれを『恋』と呼びます。
これは……思った以上に重症ですな。残念ながら手遅れのようです。
となると……フジサキに幻滅してもらうまで、アタシが付き合うしかないのか。
ふと静かになったな……と思い、アイネの方を見ると、ベッドの縁に座ってどこか遠くを見つめていた。
何だか落ち込んでいるようだ。
アタシなんかに余計なことを喋り過ぎた、とか、コルデア家の令嬢として情けない、とか、そんなことを考えているんだろうか。
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