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ギリリと刃が擦れ合う音を立てて、今だ剣と槍を交えたまま睨み合うフランツさんと、その妹のアイネ。
冗談でやっている感じではない、完全にアタシを殺りに来てますよ、この子……。
この騒動の最中、フジサキが何をしていたかと言えば、お茶のお代わりをくれたメイドさんにお礼を言ってから、アタシが飲んでいたカップをテーブルの安全圏にせっせと移動させていた。
アタシを守るって言ったのは、何処の誰だったかな?
どう見たって、今のアタシは命の危機に瀕しているぞ、フジサキ!
いきなり発言放棄をするとは、いい度胸じゃぁないか。
ビビるアタシを見かねて、フランツさんがキツい口調でアイネを叱りつけた。
「アイネ、今の発言を撤回しろ。いくらなんでも無礼だぞ! 槍も下ろせ!」
「あら? 私は本当の事を言っただけよ。お兄様こそ、また性懲りも無くこんなアバズレに丸め込まれて恥ずかしくは無いの? 何度同じ事を繰り返せば気が済むのかしら?」
激怒する兄を見ても何処吹く風のアイネ。言う事を聞く気配は微塵も感じられない。
絵に描いた様な美少女だけど、もの凄く気性が荒い。
槍を構えるその姿に、ヨーヨーを構えた昭和のスケバン刑事が重なった。
それが、アイネの第一印象だった。
大体、何でフランツさんの妹に槍を向けられた上に『アバズレ』だの『泥棒ネコ』だの、嫁いびりが趣味の姑がすれ違い様に言ってきそうな代名詞で呼ばれなくてはならないのか。
同い年くらいの女の子に凄まれている上に、初対面で何故こんなに嫌われているのか、さっぱり分からない。
●○●CHOICE TIME!●○●
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