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庭を横切る途中で、フランツさんにお父様について質問してみた。
フランツさんのお父様、一体どんな人なのか?
「父さんは若くして王宮近衛兵団の団長の座に就いたんだ。国王からの信頼も篤い、マルトゥス一優秀な騎士だよ。重役を担ってるけど、気さくな人だから安心してくれ」
「ふぅん。と言う事は、フランツさんはお父さん似なんですね?」
父親の事を自慢げに話すフランツさんを見ていると、微笑ましかった。
アタシの言葉に照れながら頭を掻いていたフランツさんは、急に自信なさ気な顔つきになってふぅっと溜め息を付いた。
「よく言われるけど、僕なんてまだまだ。父さんはおろか、アイネにすら稽古で勝てないからね」
「えぇ? アイネお嬢様って、そんなに強いんですか?」
「あぁ。どうやらアイネには武芸の才能があるらしくてね。剣や槍を握り始めたのは5歳の時でエリックや父さんが剣術を教えたんだけど、そのかいあってかメキメキ強くなっていったよ」
「フランツさんはレトリバー隊長やお父様に剣術を習わなかったんですか?」
「習うには習ったけど、僕は12歳の時に軍事訓練や騎士としての作法を学ぶためにウェンデール王城の寄宿舎に入ったんだ。その間、アイネはエリックと父さんからマンツーマンで稽古をつけて貰ってたからね。その差が出てるんじゃないかな?」
妹に勝てないなんて、情けないよね。と呟くフランツさんの背中が寂しく見えた。
人気講師による集中型個別指導の強みですね。
フランツさんも十分、優秀だと思うけど、上には上がいたってことだ。
それがたまたま自分の妹だったのだから仕方がない。
まぁ、なんだ……頑張ってね、お兄ちゃん!
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