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「チヒロ」
メイドさんが開けてくれた扉からエントランスホールに入ろうとしたら、後から来るフランツさんがアタシの名前を呼んだ。
何だろうと立ち止まって振り返ると、夕日に照らされるフランツさんの表情がやけに神妙だった。
こんな表情の彼を見るのは、聴取の時以来かもしれない。
首を傾げるアタシに向かって、フランツさんが手を伸ばした。
「チヒロ。父さんやアイネが何と言おうと、僕は君の味方だから。困った事があったら、僕を頼ってくれ。絶対に、一人で悩まないで」
「ありがとうございます、フランツさん。嬉しいです」
「……うん」
ぺこりとお辞儀をすると、フランツさんの腕が宙を彷徨い……そのまま頭の方へ。照れたようにポリポリと頭を掻いている。
1人で百面相をしているフランツさんを不思議に思ってその顔を覗き込もうとすると、彼はいつものイケメンスマイルを浮かべて、『父さんが待っているから行こう』と私の横をすり抜けて行った。
……照れ隠しなのかな。
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