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まさか……新たな敵が現れたんじゃ……!
「逃げなきゃ!」
「マスター、いけません!」
駆けだそうとしたアタシを、フジサキが引き止めた。
その瞬間、一本の矢が目の前を掠めていく。
「……っ……――!」
「くっ……」
喉がひきつれたようになって、声にならない。
思わずよろめくと、フジサキが左腕で支えてくれた。
――その袖は何かに引きちぎられたようにビリビリに破れている。
「――フジサキ!」
「心配にはおよびません。矢が掠めただけです」
フジサキは力強く頷いた。
ごめん……ごめんよ、フジサキ。
アタシが、急に飛びだしたりしたから……!
★チヒロの【 Mental 】は、【 2pt 減少 】しました。
★フジサキの【 Physical 】は、【 2pt 減少 】しました。
そのとき、獣の苦しそうな声が聞こえ、アタシ達は思わず振り返った。
1匹のうさぎに数本の矢が刺さっていた。
傷口からは血が流れ、苦しそうに息をしている。
他のうさぎ達は動揺したように各々唸り声を上げ、矢が飛んできた方を見ている。
立て続けに矢が飛んでくる。
それを間一髪のところで避けながら、うさぎ達は戦闘体制に入った。
怪我をした1匹とボス以外の個体が矢が飛んできた方向に向かって走り出す。
フジサキと共にうさぎ達が向かっていく方向を見る。
目を見張った。
日光を反射させ、光り輝く白銀の甲冑。
手には両刃の剣または槍を持ち、馬に跨る騎士。
その周りには弓を構えた軽装の歩兵達。風で翻る徽章が描かれた青い旗。
中世の騎士団の様な一団がこちらに向かって来る。
いや、正確に言うならうさぎ達に向かっている。
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