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フジサキの言葉に、フランツさんが少し不機嫌そうな表情になった。
え? うちのフジサキが何か失言でもしましたか?
ちょっと様子を窺っていると……フランツさんはちょっと口元を引き締め、フジサキ……ではなくアタシの方ににっこりと微笑みかけた。
「マルトゥスは僕の生まれ故郷なんだ。チヒロ、フジサキ、君達にこの城下町を案内するよ。任務についてはその後で。さぁ、行こう」
「え? あ、待ってください!」
集まる人目を気にすることなく、フランツさんはあっちゃんを連れて歩き出した。
慌ててその後を追うが、まだ別の疑問が残っている。
「あのグッさん……じゃなくて、グレッグ隊長補佐が『身元引受人』がどうとかって言ってたんですけど」
「あぁ、その事なら気にしなくても大丈夫だよ。後で分かるから」
アタシが隣に追いついてグッさんから聞いた事を話すと、フランツさんははぐらかすように悪戯っぽくウィンクをして、ね? っと付け足した。
納得がいかなかったが、教えてくれる様子がないので大人しくフランツさんに付いて行く事にする。
『身元引受人』、『あの方』、都市に残ったフランツさん……。
グッさんの残した言葉とフランツさんがアタシの中で複雑に絡み合い、融合して一つの答えになろうとしていた。
でも、いくらなんでも出来すぎた話だ。そんな都合のいい話がある訳ない。
「まさかね……」
隣を歩くフランツさんに聞き取られないように、小さくそっと呟いた。
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