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しばらく待っていると、フランツさんが客間に入ってきた。
甲冑からシャツにべスト、ズボンの軽装姿になったことで、さらに顔の良さが引き立つとはこれ如何に?
アタシ達が椅子から立ち上がろうとすると、それをやんわりと手で静止して、アタシと対面する席に座った。
先程の険悪さは何処へやらといった様子で、フランツさんは何事も無かったかのように笑顔で話し始めた。
「君達が何故、僕の家に預けられる事になったのか。そのことについてこれから説明させてもらうよ」
長くなるけど、良いかい? と尋ねてきたフランツさんに対して、アタシ達は黙って頷いた。
マルトゥスを統治するブレイズ家。ティルバ連合にとっては長年の憎き宿敵でもあるわけで、その名を知らぬ者はまずいない。
だからフランツさんは、スパイの可能性があったアタシにワザと『ブレイズ』の名を明かして反応を探った。しかしアタシの反応がいまいちだったので、スパイではないと判断したのだそうだ。
なんだ、そんな裏があったのか、とアタシはフランツさんの話を聞いてやっと納得した。
ちなみに『コルデア』はフランツさんのお祖父さんの代から、訳あって本家の『マルトゥス』から分家した新しい家柄らしい。
ブレイズ家は王政にも発言権がありティルバの恰好の標的でもある。だから万が一、アタシが本当にティルバのスパイか魔術の実験で呼び出された者だったら、このマルトゥスで泳がせてその目的を探り、あわよくば逆にティルバに一泡吹かせてやろうということになったらしい。
それなら本家の『マルトゥス』の城に置いた方が良いのでは? と尋ねると、最終的にアタシ達をどうするか判断してくれる『あの方』なる人物が意見の食い違いで本家と仲が悪いため、その人物と深い縁があり、交流もある『コルデア』で預かった方が良いだろうという結論になったそうだ。
レトリバー隊長は、王都の近衛兵団の団長を勤めるフランツさんのお父様の腹心の部下で、『忠誠を誓う上官の息子』という立場を悪用した、半ばゴリ押しのフランツさんの提案を呑むしかなかったらしい。
可哀想なレトリバー隊長……土下座の件は無かった事にしてあげよう。
これが、アタシ達がコルデア家のお世話になるに至った出来事の全貌である。
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