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≪ 116 ≫
「えーと……そうだね……」
コホンと、咳払いを一つしてフランツさんが理由を語り出した。
アタシは固唾を呑んでその答えを待つ。
「これは言い訳にしかならないけど……あの時の僕は、どうしても君を王都に行かせたくなかった。もっと君を知りたいと思った」
自嘲気味に笑うフランツさんの発言に、アタシの中に激震が走った。
開いた口が塞がらないとはこの事だ。
何その台詞……一瞬、乙女ゲーの恋愛イベントでも発生したのかと思った。
「遠巻きに魔物に襲われる君を見つけて、助けた時から気になっていたんだ。これが運命ってヤツなのかな? なんてね! でも、異世界人の君を詳しく知りたいって言うのは本当だよ」
「アハハ、運命ですかー。フランツさんの冗談は面白いですねー」
はにかんで笑うフランツさんに、アタシは乾いた笑いで何とか誤魔化すしかなかった。
喜びたいけど、喜べない! すっごい複雑な心境だ。
そうか。あの取調べとか、馬に2ケツとかは全部フラグだったんだな! そうなんだろ!
だが、しかしだ――。
イケメンは好きだ。でも、異世界でイケメンと恋愛する事は出来ない。
だって、元の世界に帰り辛くなるじゃん。
二度と会えない、連絡できない長距離恋愛なんて、ただの悲恋でしかないじゃない。
初彼との別れがそれとか、死ぬまで恋愛できない体になりそう。
悲恋は見て楽しむもの。実体験は言語道断なのです。
~ 1st Scene End ~
★チヒロの【 A point 】【 B point 】を必ず記録しておいてください。
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