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どうすれば……。
あれか? 『アタシのために争うのはやめて!』って言いながら、咽び泣けば良いのかな?
……とか冗談を言ってる場合じゃなくて。
もう少し様子を見守ろう。下手にどっちかの味方をすることはできない。
そんなことを考えていると、フジサキがフランツさんの質問に堂々とした態度でこう答えた。
「私の役目はマスターをお守りする事です。それが私の存在意義でございます」
「守るね……。それを口で言うのは幼子にだって出来るさ。フジサキ、君には『騎士道精神』の書物を貸していたよね? 騎士がどうであるか以前に、男として女性を労われないのは最低な行為だとは思わないのかい? しかもチヒロは君の主なんだろ? 主君の心境も察する事の出来ない君は従者として失格だ」
フジサキの答えを鼻で笑うと、笑みを消したフランツさんは厳しい口調で非難した。
フジサキは無言だ。そのポーカーフェイスが何を思っているのかは分からない。
アタシは、今度こそ本当に焦った。
騎士とは……男とは、女性をいつ、いかなる時も大切に丁寧に愛しんで扱う。
アタシへの対応はフランツさんにとって、極当たり前の行為だった。
スパイであれ、異世界人であれ、困っている女性には手を差し伸べる。
それが彼の『騎士道精神』なのだと理解する。
アタシはさっきまで抱いていたフランツさんへの疑惑を恥ずかしく思った。
彼にやましい気持ちは一切無くて、ただ、純粋にアタシを親切心で助けようとしてくれているだけなのだ。
そして、彼がフジサキを毛嫌いしているのは、フジサキのアタシへの対応と態度に問題がある。
持ち主であるアタシへのフォローが万全でない、と言いたいのだろう。
スパイ容疑を掛けられた主人を己が身と命をかけて死守するでもなく、マルトゥスへの移送やブレイズ家の世話になる事には口を出さなかったくせに、こんな時だけ『守る』などと取って付けた大口を叩く男。
少なくともフランツさんの目にはフジサキが『口先だけの最低な従者』と映っているようだ。
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●○●CHOICE TIME!●○●
「フランツさんに謝る」
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「フジサキを庇う」
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