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とりあえず成り行きを見守ってみよう……。
「あれぇ? 兄貴、こんなところで何してるんだ?」
「あ、ハル! お前を探していたんだよ!」
茶髪のお兄さんとシェナが話しているところに、赤い髪の青年が現れた。
茶髪のお兄さんと同じ執事服に身を包んでいる。
「馬小屋の飼い葉が減ってるみたいだぞ。まだ運んでないんじゃないか?」
「あっ、いっけねー!」
「ほら、行くぞ」
茶髪のお兄さんはアタシとシェナに「じゃ」とだけ言うと、引っ張るようにして赤髪兄さんを連れて行ってしまった。
……後でシェナが教えてくれたんだけど、赤髪兄さんは『ハロルド』という名前で、仲間内からは、『ハル』の愛称で呼ばれているそうだ。アタシは年下なので『ハル先輩』と呼ばせてもらっている。
執事見習いの一人で、執事の仕事以外に荷物運びや庭の剪定、馬の世話などの力仕事を担当している。
歳は20歳で、しょっちゅうシェナにちょっかいを出しては2人で喧嘩している。
そのハル先輩に『兄貴』と呼ばれた焦げ茶髪のお兄さんの名前は、『マルコ』。23歳だって。
同い年のフランツさんのことをとても尊敬していて、彼のような立派な人間になりたいと思っているそうだ。
優しい顔つきの穏やかな人だよ。アタシは『マルコ先輩』と呼んでいる。
執事の仕事以外だと食材や備品の管理、街の市場調査など、主に頭脳仕事を担当しているらしい。
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