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明らかに異様な空気が渦巻いる事にアタシは目を見張った。
たかが子供が遊びで言い放った一言に皆が怯えている。尋常じゃない。
フランツさんに目を戻すと、温和な彼が今まで見せた事のない怖い顔で一点を見つめていた。
彼の口元からギリッと歯軋りの音が聞こえて、思わず息を呑んだ。
子供達がそれぞれの母親に連れられ、蜘蛛の子を散らした様に足早に広場から離れていくと、驚くほどの静寂が広場を支配した。
「子供の一言でこの有様。穏やかではございませんね」
フジサキの言うとおりだ。これは、ただ事じゃない。
そこまで人々を恐怖させる『ちょうかくぞく』とは一体、何者なのだろうか?
膝の上で握る両手に、自然と力が入った。
「人の姿を模した悪魔。畏怖の象徴……その名は『長角族』」
フランツさんの発した言葉が、誰もいなくなった広場に木霊した。
~ 2nd Scene End ~
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