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濃い藤色の髪……珍しい気がする。
最初、思わず
『染めてるんですか?』
と聞いてしまった。
すると彼女は、気にする素振りも見せずに
『これは正真正銘の地毛さ。アタシの血族にはエルフェンか魔族がいるらしくてね。その血のせいでこんな色になったのさ』
と淡々と説明してくれた。
彼女はどうやら、人族以外とのハーフかクォーターらしい。
長いイオ・ヒュムニアの歴史の中ではそういう別大陸の種族との混血種もたくさんいる。
今までそういう人物に会わなかったアタシは、フジサキやピスタさん、ロイズ村長から聞いた事がこの世界の全てだと思っていた。
でも実際はごく一部の知識で知った気になっていただけだった。自分の無知さ加減に恥ずかしさすら覚える結果となった。
興味本位で不謹慎な事を聞いてしまったとお詫びすると、珍しがられるのには慣れているらしく『何とも思っていないから、その陰気臭い顔はお止めよ』とニヒルに笑った。
その姿がカッコ良くて、それ以来『ビアンカ姉さん』と呼ばせてもらっている。
口は少々キツイが、アタシやシェナがヘマをすると庇ってくれたり、『一つ貸しだよ』と言って、アタシ達の仕事を代わりにこなしてくれたりする、頼れる姉御肌だ。
アタシはビアンカ姉さんにかれこれ貸しが5つ以上ある。
ビアンカ姉さんには足を向けて寝れないね。
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