4-≪ 62 ≫
≪ 62 ≫
あー、面倒臭いなぁ。どうしてこうなった……って、アタシが話を振ったせいか。
でも、そんなことがあったなんて知らなかったしなぁ。
はぁ。今は、何言っても言い訳にしかならないか。
フランツさんの背中を見つめた。
黙って歩く彼になんて言葉をかければ良いのか、分からなかった。
この後、どうするよ?
どう考えたってアタシが空気読んで会話のネタ出すしかないよなぁ。
うーん、いいネタが思いつかない。思考回路がショート寸前だ。
「はぁー」
と、自然と深いため息が漏れる。
「どうしたの?」
アタシのため息が聞こえてしまったらしく、フランツさんが振り返って小首を傾げた。
アタシは、危うく言いかけた『長角族』の名を飲み込んだ。
「え? えーっと……出来る事なら、会いたくないなぁって。その……ちょ、何とか族に。いつか元の世界に帰る方法を探しに旅に出て、道端でばったり遭遇したりしたら、アタシ戦えないですし……身を守るすべがないなぁって思いまして」
「……僕が守るよ」
フランツさんは急にまじめな顔をして言った。
「……え?」
「あ、いや。この鉄壁のマルトゥスにいる限り、奴らが襲撃してくる事はないから安心してくれ。万が一現れても、僕が必ず君を守るから」
その言葉には一点の曇りもなかった。
フランツさんは、本当にアタシの事を守ってくれる気でいるんだと思う。
でも、その言葉を素直に受け取れない自分がいた。彼のその言葉を、疑ってしまっている。
『君を知りたい』と言った彼と、『君達に何が分かる』とアタシ達を突き放した彼。
彼の本音は、一体どっちなのだろうか?
「何で……わけの分からない正体不明の異世界人のアタシにそこまで良くしてくれるんですか?」
彼の真意が知りたくて、少しきつい口調でそんな疑問を口走った。
「君は……その。隊長から預かった監視対象だからね」
「あー。なるほど、そういう……ありがとうございます」
アタシがそう言うと、困ったように眉を下げたフランツさんは前に向き直った。
監視対象だから守る――当たり前か。何を期待してんだアタシは。
それにしても長角族か。いつか何処かで遭遇する事になるのだろうか?
もし出会ってしまったら、アタシはどうすれば良いんだろう?
これから先の未来が真っ暗な気がして、アタシは途方に暮れた。
~ 3rd Scene End ~
★あなたの【 X point 】は【 5pt 】、【 Y point 】は【 5pt 】となります。
必ず記録しておいてください。
このまま、≪ 130 ≫ へ進んでください。




