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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第4章 アタシと、コルデア家
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4-≪ 28 ≫

≪ 28 ≫


 やはりコルデア家のメイド見習いになった以上、先輩にはちゃんと挨拶しないと。

 普段はこんな感じみたいだけど、あのときは素敵な執事さんだったし。


「あのっ……チヒロと申します。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、これからよろしくお願いします!」


 大声でそう言ってペコッとお辞儀をすると、赤髪の青年は「お?」というようにアタシの顔を見た。


「おう、よろしく。俺は、ハロルド。ハルでいいからな、チヒロ」


 そう言ってニカッと笑ったハロルドさんは、急に可愛い顔になった。

 それを見たシェナがぷぷぷ、と笑いだす。


「わー、ハルが先輩ぶってるー。おっかしー!」

「うるせぇぞ、シェナ!」


 ……後で聞いたんだけど、ハロルドさんは執事見習いの一人で、執事の仕事以外に荷物運びや庭の剪定せんてい、馬の世話などの力仕事を担当している。

 歳は20歳で、しょっちゅうシェナにちょっかいを出しては2人で喧嘩している。

 

 仲間内からは、『ハル』の愛称で呼ばれているそうだ。アタシは年下なので『ハル先輩』と呼ばせてもらっている。

 ……とは言っても、あんまり年上って感じはしなくて、何かクラスメイトみたいだけどね。

 ぶっきらぼうだけど温かくて、変な遠慮をしなくて言いたいことが言える感じ。

 ……って言ったら、本人は怒るだろうなあ……。



★チヒロの【 G point 】は、【 1pt 増加 】しました。



「ハル、こんなところにいたのか」

「あ、兄貴!」

「馬小屋の飼い葉が減ってるみたいだぞ。まだ運んでないんじゃないか?」

「あっ、いっけねー!」

「ほら、行くぞ」


 ハル先輩に『兄貴』と呼ばれたのは、同じ執事服を着た焦げ茶色の髪の青年。

 アタシとシェナに「じゃ」とだけ言うと、引っ張るようにしてハル先輩を連れて行ってしまった。

 

 シェナが「マルコって言うんだよ」と教えてくれた。23歳だって。

 同い年のフランツさんのことをとても尊敬していて、彼のような立派な人間になりたいと思っているそうだ。

 優しい顔つきの穏やかな人だよ。アタシは『マルコ先輩』と呼んでいる。

 執事の仕事以外だと食材や備品の管理、街の市場調査など、主に頭脳仕事を担当しているらしい。





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