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やはりコルデア家のメイド見習いになった以上、先輩にはちゃんと挨拶しないと。
普段はこんな感じみたいだけど、あのときは素敵な執事さんだったし。
「あのっ……チヒロと申します。ご迷惑をおかけするかもしれませんが、これからよろしくお願いします!」
大声でそう言ってペコッとお辞儀をすると、赤髪の青年は「お?」というようにアタシの顔を見た。
「おう、よろしく。俺は、ハロルド。ハルでいいからな、チヒロ」
そう言ってニカッと笑ったハロルドさんは、急に可愛い顔になった。
それを見たシェナがぷぷぷ、と笑いだす。
「わー、ハルが先輩ぶってるー。おっかしー!」
「うるせぇぞ、シェナ!」
……後で聞いたんだけど、ハロルドさんは執事見習いの一人で、執事の仕事以外に荷物運びや庭の剪定、馬の世話などの力仕事を担当している。
歳は20歳で、しょっちゅうシェナにちょっかいを出しては2人で喧嘩している。
仲間内からは、『ハル』の愛称で呼ばれているそうだ。アタシは年下なので『ハル先輩』と呼ばせてもらっている。
……とは言っても、あんまり年上って感じはしなくて、何かクラスメイトみたいだけどね。
ぶっきらぼうだけど温かくて、変な遠慮をしなくて言いたいことが言える感じ。
……って言ったら、本人は怒るだろうなあ……。
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「ハル、こんなところにいたのか」
「あ、兄貴!」
「馬小屋の飼い葉が減ってるみたいだぞ。まだ運んでないんじゃないか?」
「あっ、いっけねー!」
「ほら、行くぞ」
ハル先輩に『兄貴』と呼ばれたのは、同じ執事服を着た焦げ茶色の髪の青年。
アタシとシェナに「じゃ」とだけ言うと、引っ張るようにしてハル先輩を連れて行ってしまった。
シェナが「マルコって言うんだよ」と教えてくれた。23歳だって。
同い年のフランツさんのことをとても尊敬していて、彼のような立派な人間になりたいと思っているそうだ。
優しい顔つきの穏やかな人だよ。アタシは『マルコ先輩』と呼んでいる。
執事の仕事以外だと食材や備品の管理、街の市場調査など、主に頭脳仕事を担当しているらしい。
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