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「こう見えてもアタシ、あのコルデア家のメイドなんですから!」
腰巾着男の腕の中でもがきながらも『アタシに何かあれば、旦那様が黙っていませんよ!』と、この大陸の誰もが知っているらしいあの『コルデア家』の名前を使わせてもらった。
「おいおい、そんな嘘で逃げられるとでも思ってんのか? キッチリ払ってもらうぜ? てめぇの体でな」
駄目だ、鼻で笑い飛ばされた。嘘だと決めつけられて、相手にされていない。
アタシの体を厭らしい目付きで舐め回し、下品に笑う筋肉男の顔を思い切り蹴り飛ばしてやりたくなった。
「おっと、あんまり動くと……余計に痛くなっちまうぜ?」
抵抗しようともがけば、腰巾着男がアタシの喉元に短剣をグッと押し当ててきた。
これ以上暴れると、本当に命が危ない。
黙るしかないアタシは、悔しくて奥歯を噛みしめる。
どっちが先に入れるだとか、メイドだけに口でも奉仕してもらうかとか、久しぶりだから相当溜まってるだとか、そんな汚い会話を交わしながら、男達は路地のさらに奥へとアタシを引きずっていく。
力を込められる度に喉に当てられた短剣の刃が食い込んだ。
この痛み、もしかしなくても血が出てる。
あの時、先輩2人の忠告をちゃんと聞いておけば、こんな事にはならなかったのに。
アタシって本当に馬鹿だ。こんな人気のない所じゃ、叫んだって誰も助けに来てくれないだろう。
どうしよう、アタシの人生詰んだ。乙女の、貞操の大ピンチだ。
「兄貴よぉ、やり終わったらコイツどうすんだ?」
「下手に置いとくと足がつくかもしれないからな。黒い髪なんて珍しいから、奴隷商人が喜んで買い取るだろうよ」
こういう面白みのねえ体した小娘が好みの変態貴族も多いらしいからなぁ、といらない情報も付け足して、筋肉男と腰巾着男はアタシを乱暴に路地の行き止まりに突き飛ばした。
逃げようと這いつくばったけど、「どこに行こうってんだ?」と髪を引っ張られてて連れ戻されてしまう。
しびれを切らした筋肉男に跨られて、地面に縫い付ける様に押し倒される。
この野郎、ただの無抵抗な小娘だと思うなよッ!
最後の足掻きにアタシの手を掴む筋肉男の腕に噛み付いてやった。
「このクソアマッ! 大人しくしてろッ!」
バシンと思い切り頬を叩かれた。
とんでもない倍返しだ。殴られた右の頬がズキズキと痛んで、頭がくらくらする。
抵抗したら、もっとひどい暴力を受けるかも……そう思ったら、抵抗して暴れるのが怖くなって、アタシはされるがままになるしかなかった。
頬の痛みでなのか、悔しさでなのか、それとも絶望でなのか、ギュッと瞑った目から一筋の涙が頬を伝う。
乱暴に引っ張られたブラウスのボタンがはじけ飛んで、胸元が露になる。
スカート越しに内股を撫でられた瞬間、ゾゾゾっと背筋を悪寒が走った。
誰でも良いから……お願い、助けて!
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