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「お嬢様、アタシは別にアイツとは何とも……うわぁ!」
何かに躓いて、アタシは後ろに倒れた。
次の瞬間、背中から何かにダイブした事に気が付く。
バフッと柔らかい感触のそれは、アイネのベッドだった。
ヤバイと思って、慌てて起き上がろうとしていると、バンッと勢い良くアタシの顔の両サイドに手が突かれた。
これは、『壁ドン』ならぬ『寝具ドン』……だと? これじゃ、逃げられないじゃないか!
手から目を離して頭上を見上げると、至近距離に頬を染めて息の荒いアイネの顔があった。
見る人が見たら『百合展開キタコレ!』とか『お嬢様×メイドにオタク大歓喜!』って、勘違いされる事間違い無しの状況だ。
違う! アタシは女の子には興味ないんだ。
ノーマルです。ノーマルカップリングでお願いします!
この部屋にいるのがアタシ達だけでホントに良かった。
「どうなの!? 黙ってないで、何か言いなさい!」
「これが……百合」
鼻息の荒いアイネがアタシの顔面すれすれの所で詰問してきた。
アイネの熱い吐息や長い髪が当たって、首筋とか鎖骨の辺りがゾワゾワする。
だから、アタシは百合じゃねえって言ってんだろ! いい加減にしろよッ!
「はぁ? 百合が何ですって?」
「ち、違います! さっきのは、ただの独り言です! アタシとフジサキは恋人同士では断じてないです! あくまで主人と従者の関係です。……とは言っても、アタシもアイツの事は今だに良く分かってないんです。趣味とか、好きな女性のタイプとかは知らないです!」
「その言葉に嘘偽りはないのね?」
「はい」
「……そう」
アタシの答えを聞くと、一呼吸付いてからアイネがアタシの上から退いてくれた。
そしてゆっくりとベッドの縁に座ると、どこかを見つめている。
何か知っているだろうと勇気を出して呼び出したアタシがフジサキの事をあまり知らないのだと分かって、ガッカリしている感じだ。
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