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ローナ村を旅立ってから、半月が経った。
ガタガタと揺れる荷馬車の中からアタシは外の様子をボーっと眺めていた。
正直、何もやる事がなくて退屈だ。景色を眺めるのにも飽きた。
だって、見渡す限り草しか生えていない。それ以外、ホントに何もない。
まぁ、平原の中に舗装された街道だから、草しかないのは当たり前なんだけどさ。
じゃあ、何か内職でもすればいいじゃない? って思うじゃん?
できないんだよね、これが。だって、アタシの手には厳つい金属製の手錠がはめられているんですもの。
暇つぶしの手段を何一つ持っていないアタシは、たまに適当な替え歌を歌ったりして気を紛らわせていた。
あぁー。暇すぎて、マジで死にそう……。
そして現在、森を抜けた部隊は広い平原を西に向かって進んでいた。
平原でも魔物の襲撃はあるが森林地帯に比べれば体の大きさも小さく、数も少ない。
平和――と言えば、平和なのだが……ものすごく暇だ。
暇で死ぬ事なんてないって言うけど、あれは嘘だと思う。
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