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そうか、グッさんもアタシを見捨てるのか……。
思わず俯くと、グッさんがアタシの頭を力強く撫でた。
そう言えば、男の人に頭を撫でられるなんてお父さん以外初めてかもしれない。
お父さん……今頃、何してるかな? アタシのこと、心配してくれてるかな?
グチャグチャになった頭を押さえて物思いにふけっていると、ガハハッとグっさんが豪快な笑い声を上げ、手綱を振り下ろした。
パシンと乾いた音が響き、叩かれた馬が高らかに嘶く。
荷馬車がゆっくりと前進し始める。
彼の「達者でなぁー!」という高らかな声を残して、王都に向かう部隊は広場を去って行った。
とりあえず去っていく隊列に手を振るアタシと、その横に立つ直立不動のフジサキ。
結局、ちゃんとした説明はしてもらえなかった。
不当な扱いを受けることはないという事でいいのだろうか?
フジサキと2人、これからどうすれば良いのかと溜め息交じりに辺りを見回した。
~ 3rd Scene End ~
第3章「アタシと、グッさん」≪ 完 ≫
これで、チヒロの3つ目の冒険は終了です。
お疲れさまでした。
このまま、「第3章 あとがき」へ進んでください。




