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ここで、グッさんとの会話は途切れた。
偵察兵が急襲を知らせる角笛を吹いたからだ。
グッさんはアタシを荷馬車の奥に押し込んで「俺がいいって言うまで、出てくるな!」とさっきとは、まるで別人のような鋭い声で叫んだ。
押し込まれる前に、チラッと角笛の音が聞こえた方を見た。
小型ではあるものの鋭い牙を持った狼の魔物【キラーファング】の群れがこちらに向かって来るのが見えた。こういうシチュエーションは何度もあったので、もう慣れた。
奥に座っているフジサキの隣に腰掛けて、戦闘が終わるのを待つ。
馬の足音や兵士達の怒号、剣や槍が放つ金属音と魔物の断末魔の叫び。
聞いていて気持ちのいい物ではない。目を閉じて膝を抱えると、アタシはフジサキに密着して座った。
フジサキは何を言うでもなく、辺りを警戒するようにただジッと座っている。
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