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それからこれは、ローナ村から駐屯地に戻る最中フランツ副隊長から直接聞いた話なのだが、アタシとフランツ副隊長は初対面ではなかったらしい。
アタシは全く気づかなかったのだが、森の中でネザーランド・キラーに襲われていたアタシ達を助けてくれた討伐隊を指揮していたのはフランツ副隊長だったそうだ。
遠目だったが、アタシとフジサキの黒髪が珍しくて覚えていた、とかなんとか。
命の恩人の上にアタシ達がティルバ連合のスパイではないと、レトリバー隊長に進言してくれたのも彼だった。
お礼を言いたかったが、メチャクチャ揺れるあっちゃんの上ではそれがちゃんと伝わったかどうかが分からない。
マルトゥスに到着して、もう一度フランツ副隊長に会って話せる機会があったら、その時こそ心からのお礼を言おう。
「時にグッさんや。マルトゥスにはあと、どれくらいで着くのかな?」
「なんだその婆さんみたいな口調。そうだな……せいぜい2、3日ってところだな」
後2日かぁ……。
城塞都市マルトゥスとはどんな所なのだろうか? あとでグッさんに詳しく聞いてみよう。
アタシ達はその大都市の一体何処で生活する事になるのだろうか?
ほんの少しの『期待』と胸いっぱいの『不安』がアタシの中でグルグルと渦巻いていた。
『運命』ってヤツは本当に気紛れで、嫌がらせみたいな事を平気でしてくる。
まさか、この異世界でこれから起こる大きな出来事に深く関わっていく事になるなんて――。
荷馬車に揺られ、暢気に笑っていたアタシに、どうして想像できただろう。
~ 1st Scene End ~
★【 Mark 】はもう使用しませんので、破棄していただいて大丈夫です。
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