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マジでふざけんな。せめて城の手前まで乗せてけや。
アタシは発車しようとしている荷馬車に神速の足並みで突進した。
御者台にもの凄い剣幕でしがみ付くと、乱れた髪の間からグッさんを見上げた。
グッさんが「ゲッ!?」と嫌そうな顔をする。
逃がさねぇぞ、このハゲ野郎!
「アタシ達はここに置き去りですかぁ? 忙しいのは分かったけど。ふざけんな、あそこまで乗せてけ!」
怒りで口元がヒクつくのを押さえられないぜ。
背後にそびえるマルトゥス城を指差して、アタシはフジサキが止めるのも聞かずに、必死に荷馬車にぶら下がった。
グッさんが暫く首を傾げてから、おぉ!っと手を打った。
「色々と勘違いしてるみてぇだけど、身元引受人は手配済みだから心配するこたぁねーよ」
「身元引受人? 何ですか、それ?」
グッさんの言葉をオウム返しして、アタシは荷馬車から手を離した。
どうやら、アタシ達を引き取ってくれる人がいるらしい。
いつの間にそんな人物を呼んだのだろうか?
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