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「ここがマルトゥスなんだね! マジですごいや、グッさん! ヤバたにえんじゃん!」
荷馬車から身を乗り出して町並みを見ていたアタシは興奮が収まらず、午後の日光を浴びて眩く光るグッさんの頭を勢いに任せてペチペチ叩いた。
こうも見事にツルツルした物が目の前にあったら容赦なく叩きたくなっちゃうのさ……もはや、本能だね。
木魚みたいに頭を連打されて「おい! やめろって!」と口では言うものの、グッさんも楽しそうに行きかう人々を見ている。
ウェンデールの騎士を名乗る者ならば、このマルトゥスに赴く事はそれ自体が大変誉れな事だと旅の途中でグッさんが語ってくれた。
『英雄』に憧れる騎士達の聖地。
道理で、半月に及ぶ長い旅路で疲弊していた筈の兵士達がこの町に入った途端、その表情を輝かせて元気を取り戻したわけだ。
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