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アタシは「変な服」と言った小さな女の子の前にしゃがみ込むと、ニコッと笑いかけた。
「こんにちは」
「! ……こ……こんにちは……」
少女がビクッとして母親の影に隠れる。
でも、挨拶はちゃんとできる子なんだな。よしよし。
「お姉ちゃんの服、変かな?」
「…………」
女の子はこくりと頷いた。
……おう、ビビりながらもいい度胸やないかい。
「これね、アタシの国では選ばれた人しか着れない服なんだよね~」
「……えっ……」
女の子が驚いたように目を丸くしている。
さっきまでの「変な服」が急に「流行りのモード服」にでも見えたかのようだった。
「お姉ちゃん、外国の人? 選ばれた人なの?」
「そうそう。だからね、これはアタシの国の、大事な服なの」
「……」
女の子はちょっと考え込むと、こくりと頷いた。
「お姉ちゃん。その服、変じゃないよ。お姉ちゃんに似合ってるよ」
「……ありがとう」
頭を撫でてあげると、女の子は嬉しそうに笑った。
アタシが立ちあがると、お母さんが小さく「すみません」と言って頭を下げ、そのまま歩いて行った。
うむうむ、何か良いことをした気分だ。
「……マスター」
「何よ」
「嘘は……」
「嘘は言ってないもんね~」
「ですが……」
「アタシの国、日本にしかないし、高校に受かった人間しか着られないんだから、嘘じゃないでしょ」
「……ですが、それは偽称になるのではないかと……」
フジサキが困ったような顔をしていた。ロイズさんは「ほっほっほっ」と何だか楽しそうに笑っている。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 偽 】を失いました。
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