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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第2章 アタシと、ローナ村
321/777

2-≪ 197 ≫

≪ 197 ≫


「マスター、ご報告があります」

「んー? 何?」


 雑炊をふーふーしながら返事をする。


「この世界の言語の習得が完了いたしました」

「……へ?」


 アタシは危うく、雑炊の器を取り落とすところだった。


「え? それってつまり……文字を覚えたって事? マジで?」

「はい。習熟度100%でございます」

「ど、どうやって覚えたの?」


 何それ、凄い……。淡々と『文字を覚えた』と断言するフジサキに、アタシは二日酔いもだいぶ治まった体で詰め寄った。


「マスターもご存知のように、この世界の言語は日本語と発声が全く同じでございます。そこから考察し、文章を単語で区切り、さらに同じ使い回しをされているものを挙げていきました。そこからある程度意味を予想した上で内容を予測致します。それを何通りも繰り返し、言い回し、構成に無理のない文章を組み立てました。結果……文章の解読に成功いたしました」


 ごめん、詳しく説明してくれたんだと思うんだけど……アタシには半分も理解できなかったわ。

 つまり、あれだよね。要約すると、「フジサキはこの世界の文字が読めるようになった!」で良いんだよね?


「凄いじゃん、フジサキ。でもさ、解読が間違ってるって事は?」

「ロイズ様に文章の内容を確認致しましたところ、解読したものと一致しました」

「そうかぁ……でかしたフジサキ。褒めて遣わすぞ」

「ありがたき幸せ」


 アタシが腕を組んでふんぞり返ってそう言うと、フジサキは恭しく頭を下げた。

 冗談で言ったつもりだったんだけど、付き合ってくれるんだね。


「でも……昨日はずっと宴会だったよね? いつの間に?」

「最初の晩にロイズ様から書物を借りまして、夜が明けるまで作業をこなしておりました。昨日は宴会後から今までほぼすべての時間を費やしましたので……」


 えー……。

 フジサキが夜なべして、猛勉強してくれた……。

 ん? て、ことはフジサキは二徹、不眠不休だったってこと? それって大丈夫なの?


「私には生物に必要不可欠である『睡眠』というものを摂らずとも、生命活動には全く支障を来たしませんので、ご心配には及びません」


 アタシが心配になって聞いてみると、そんな抑揚の無い答えが返ってきた。 

 眠れない身体ではなく、眠らない身体のフジサキ。

 一体、どういう構造になっているんだろう。また一つ、謎が増えた。



★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 語 】を失いました。

★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 訳 】を手に入れました。





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