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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第2章 アタシと、ローナ村
314/777

2-≪ 190 ≫

≪ 190 ≫    ~ 5th Scene Start ~


 新しい朝が来た、希望の朝だ。喜びに……喜びにぃ……あれ?

 その後の歌詞、何だったっけかな? 覚えてないや……。まぁ、いっか!


 窓から差し込む朝日でアタシは眼を覚ました。

 ベッドから立ち上がって、うーんと大きく背伸びをする。

 テレサさんが昨晩、『乾きましたから、畳んでおきましたよ』と置いていってくれた自分の制服に袖を通す。

 洗濯機も電気アイロンもないはずなのに、制服には皺一つない。

 テレサさん、クリーニングの天才なのでは?

 などと考えつつ、部屋の隅にある備え付けの鏡台を覗き込んで身だしなみを整えた。


 異世界に来て、最初に迎えた朝だ。これからローナ村での新生活が始まる。

 そう考えると断然、気が引き締まった。


「おはようございます」

「あら、おはよう。まだ寝ていて良かったのに」


 部屋を出て、昨晩みんなで夕食を食べたリビングを通り抜け、キッチンへと向かう。

 夕食前に一通り家の中を案内されたので、場所は把握している。 

 朝食が出来上がったら起こしに行ったのに、とキッチンから笑顔のテレサさんが顔を出した。

 パンの焼ける良い匂いと鍋をかき混ぜる音がする。不覚にもお腹が鳴りそうになった。


「何か、早く起きちゃいました。お手伝いします」


 腹の虫が鳴き出す前に、アタシはキッチンへと足を踏み入れた。

 するとそこにはもう一人、昨日振りに見る人物がいた。


「マスター、おはようございます。良くお眠りになれましたか?」

「おはよう、フジサキ……って、アンタその格好、どうしたの?」


 テレサさんの隣でポーカーフェイスのまま、鍋をかき混ぜつつ、そつのない挨拶をするフジサキ。

 アタシより早起きとか、一体何時に起きたんだコイツ。   

 いや、それよりもだ。ツッコミたいことがある。

 フジサキを見た瞬間、危うく吹き出すところだった。

 フジサキの現在の服装は、何故かスーツに白のフリルエプロンという出で立ちだった。

 ミスマッチにも程がある。キッチンに立っているその姿は、違和感しか発していない。


 マジでやってんのか、それ? 出勤前のサラリーマンだってそんな格好しないぞ。

 コメディなの? 朝から一発ギャグをかまさなきゃいけないノルマでもあるの?

 ギャップ? もしかして、ギャップ萌え狙ってる?


「テレサ様が用意して下さりました。これでしたら万が一、食材や汁物が跳ねても服飾品を汚しません」


「朝食の準備を始めようと思ったら起きていらっしゃったの。お手伝いを買って出てくれたんだけど、せっかくのお洋服が汚れちゃうから結構よって断ったの。そしたら『エプロンを貸して頂けませんか?』って……フジサキさん、男の方なのに手際が良くて驚いたわ。おかげで助かっちゃった」


 ウフフとはにかんだ様に笑うテレサさんと、どこかドヤ顔のフジサキが顔を見合わせていた。

 エプロンの用途は間違ってない……間違ってないけどさぁ。

 いや、テレサさんが助かったと言うなら、何も言うまい。

 良くやったフジサキ、アタシは出鼻を挫かれたけどな。

 


★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 笑 】を手に入れました。

※【 Key word 】がMAXの20個だった場合は、もっとも古い【 Key word 】を破棄し、【 笑 】を入手して下さい。





 このまま、≪ 77 ≫ へ進んでください。

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