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そんな事を考えている内に、アタシ達は30分ほどでローナ村の入り口に着いた。
そこには、ロイズさんとテレサさんの姿が。
「え……」
「僕はここで待っているから」
そう言ってアタシをあっちゃんから降ろしてくれたフランツ副隊長は、それより先には入って来なかった。
気を使ってくれているのだろう。
二人の顔を見た途端、涙が込み上げてきた。
「アタシ……何て、言ったらいいか……」
「チヒロさん……」
「ごめんなさい……」
「謝る必要なんか全然、ないわ」
思わず俯く。
そんなアタシの肩に、ロイズさんの温かい手が触れる。
そして、テレサさんの温かい声が、アタシの耳に。
「貴女はいつか、ここ出て行くんだと覚悟していたのだから……。ここに貴女を留まらせてはいけない。そう自分達に言い聞かせて……」
「でも、アタシ……『終末の巫女』としての役目も、自分で勝手に始めた仕事も、全部放り出して行こうとしてるんです。アタシはずるいんです」
耐え切れずに、アタシは涙を流した。
ボロボロ零れ落ちる涙をテレサさんが優しい手つきで拭ってくれる。
いつでも優しく接してくれたテレサさん達を裏切る。
あぁ、アタシはやっぱり悪いヤツだ……自己嫌悪で胸が一杯になっていく。
「泣かないで。貴女はずるくなんて無いわ。貴女をここに引き止めたのは私達なんですもの。ずるいのは私達の方よ。チヒロさんは何にも悪い事なんてしてないわ」
「でも……でも、アタシはッ!」
「これ以上、自分を責めないでちょうだい。貴女から、私達も村の人達も、十分過ぎるほどたくさんの幸せを貰ったわ。だから今度は、貴女が幸せになる番……」
テレサさんはアタシの言葉を遮って強い口調でそう言った。
もうこれ以上、アタシが罪悪感に囚われないように。この村に、未練を残さないように。
「テレサさん……」
「いってらっしゃい、チヒロさん。誰よりも幸せになってちょうだいね」
「……はい」
アタシ達は再び抱き合って、泣いた。
アタシは声を上げて泣いて、テレサさんはそんなアタシの背を撫でながら静かに涙を流していた。
ロイズさんはアタシ達二人を包むように腕を回し、優しく頷いていた。
こんなにも優しい人達に囲まれていたアタシは、何て幸せ者だったのだろう。
それが束の間であっても、アタシは決してこの村を、この人達を、生涯忘れる事はないだろう。
……そう、思った。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 別 】を手に入れました。
※【 Key word 】がMAXの25個だった場合は、もっとも古い【 Key word 】を破棄し、【 別 】を入手して下さい。
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