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やな感じではあるけど、だからこそ、アタシを元の世界に帰してくれそうな魔術師もいるに違いない。
そう考えてたんだっけ……。何か、絶対に無理そうだけど……。
「ピスタ様、ヴァルベイン帝国に入国を許可されるに値する大業とはどのようなことなのでしょうか?」
アタシがげんなりした顔をする一方、フジサキは入国許可について聞いた。
ピスタさんは腕を組んでうーんと唸った。
各地を旅するピスタさんでも帝国に出入りする人にはなかなか出会えない。
出会えたとしても内情を口外することが許されていないため、どうすれば入国できるのかなどの情報が少ないのだ。
「風の噂で聞いたところによれば、大国の国王は年に1度開かれる大陸会議なる催し物で入国できるそうです。それ以外となりますと……魔術に相当長けた人物か、ドラゴンと契約を結べた方でしょうかね。それ以外には思い当たりません」
「え? ドラゴンと契約するってそんなに凄い事なんですか? てか、ドラゴンって魔物じゃないんですか?」
アタシは驚いた。
アタシの中のドラゴンと言えば、知能が低くて何にでもとりあえず攻撃する凶暴な生き物のイメージがある。
ダンジョンの奥で勇者の行く手を阻んだり、何とかハンターとお供のネコに狩られて素材を剥ぎ取られたり、一番良いイメージで召喚師や竜騎士と一緒に戦う召喚獣ってところだ。
ピスタさんにアタシのドラゴン観を説明すると、彼は真っ青になって首を横に振った。
「何を言うんですか、チヒロさん。良いですか? ドラゴンとは『ゼオス・ゼロス』から4つの大陸が創世したのと同次期に誕生した最古の種族です。魔物などと一緒にしては駄目です。この世界で最も偉大で聡明な種族なのです。ワイバーンなどと一緒にしたら……考えるだけでも恐ろしい」
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 術 】を失いました。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 龍 】を手に入れました。
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