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JKのアタシが異世界転移(以下略)ゲームブック版  作者: 加瀬優妃
第2章 アタシと、ローナ村
299/777

2-≪ 175 ≫

≪ 175 ≫


「あれからよくお休みになれているようで安心いたしました」


 その後。

 ハーブティを飲みながら、フジサキが言った。

 多分、初日の夜の夢のことを言ってるんだと思う。


「うん。毎日、アルバイトでクタクタだからさ」

「それはようございました」

「そう言えばさ、アタシ今日スッゴい事に気が付いたんだけどさ……」

「凄い事? それはどのような事でしょうか?」

「うん、またフジサキについてなんだけど」

「私でございますか?」


 フジサキはポカンとした顔で飲んでいたハーブティーをテーブルに置いた。

 ついでに、小首を傾げるイケメンフェイスのハッピーセットがもれなく付いてくる。

 昨日もこの顔は見た、完全にデジャブだ。

 フジサキにはいまだに謎が多い。



★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 夢 】を失いました。

★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 謎 】を手に入れました。



 昨夜もアタシはフジサキを質問攻めにしていた。

 それで分かったのは以下の事だ。


『彼が擬人化端末機である事』

『実年齢は1歳5ヶ月である事』

『防水・防塵・耐衝撃性が実装されている事』

『端末機だった頃にダウンロードしたアプリ(一部不可)、及び電子書籍などを使用できる事』

『新しい知識を完全記憶(インストール)できる事』

衣服(カバー)が着脱可能な事』


 まずこの中でツッコミたいのは年齢だね。「フジサキって何歳なの?」って聞いたら、「元の世界の時間で換算するなら1歳と5ヶ月でございます」って律儀に返されてアタシはハーブティーを噴き出した。

 1歳って……こんな、どう見たって成人にしか見えない赤ちゃんがいてたまるかッ!

 ……って思っていたら、どうやら端末機として製造されてからの月日を答えたらしい。

 驚かせんなし……。


 ちなみに設定年齢は27歳だそうだ。

 それから最後の項目については現在実行されていて、フジサキはスーツの上着を脱いでいてワイシャツに黒のベスト姿だ。

 『その服って脱げるの?』と聞いたら、「もちろん、可能でございます」と多感な年頃の乙女の前で真顔のストリップショーを始めようとしたので止めさせた。

 パンツにチップでもねじ込めってか、アタシにはそんな遊び金はないんだぜ。

 スーツを脱ごうとするフジサキは変な色気が出ていて正直ビビッたし、柄にもなくドキドキしたのは秘密です。


 これらの事を踏まえると何処までが端末機で、何処までが人間なのかその線引きが難しい。

 そのうち、某アニメの少佐(メスゴリラ)の様に『ネットは広大でございますね』とか言い出しそうだ。

 それはそれでメチャクチャ強そうで頼もしいけど……。


「アンタさ、この世界に来てから『充電』……一回もしてないよね?」

「あぁ……その事でございますか。それならば問題ございませんよ」

「そうなの? この世界、電気がないっぽいから土壇場で『バッテリー切れで動けません。充電してくださいマスター』とか言わないでよね」


 フジサキの口調を真似ながら念を押すと、彼はおもむろに先程まで手にしていたカップを指差した。

 ん? そのジェスチャーは何を意味してるんだい?


「この様に口から直接エネルギーを摂取しておりますので、バッテリー残量は随時100%でございます」

「つまり人間と一緒ってこと? でもトイレに行くとこ見たことない気が……」

「私は摂取した食物を体内で完全還元する事が可能なのです。ですから体外に排出される物は何一つございません」

「へッへぇ~。それはすごいなー」


 棒読みな生返事をしてしまった。

 なるほど、イケメンはウ●コなんてしないんですね。そうですか……ふーん。

 新手のエコかな?……そうだ、環境に優しい(イケメン)

 それがフジサキなんだ。

 そういう事にしておこう。

 フジサキの体内には溶鉱炉でもあるんだろうか? 本当にド●えもんみたいだ。

 また新たな謎を解決したアタシは、引き攣った笑顔で次の話題を考えるのに徹した。


 こんな感じで、アタシの5日目の夜は更けていく。



 


                        ~ 6th Scene End ~



★チヒロの【 Key word 】を必ず記録しておいてください。


 このまま、≪ 48 ≫ へ進んでください。

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