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「それじゃ」
そう言うと、フランツ副隊長は去っていった。
フジサキは本当は別のテントになる予定だったみたいだけど、お願いして一緒のテントにしてもらった。
ベッドの側の椅子に座ってもらう。
「お休みなさいませ、マスター。何かございましたら何なりとお言い付けください」
そう言って、フジサキはテントの出入り口の方に目を向けた。
眠らないフジサキは夜通し、何があってもすぐさま対応できるように警戒に当たるのだろう。
どうして、そこまでしてくれるのだろうか?
アタシの持ち物だからというのでは、理由にならない気もする。
目を閉じてみるが、一向に眠気はやって来ない。
明日の朝、ロイズさんやテレサさんに再会したら、まず何と話しかけよう。
そして何と言って別れれば良いのか、全く思いつかない。
戻って来ないアタシとフジサキをきっと、今この瞬間も心配しているはずだ。
2人にだけ挨拶をして、自分勝手な理由で去るアタシを2人は怒るだろうか? 失望するのだろうか?
考えれば考えるほど、眠れなくなっていく。
ただ目を瞑って「このまま朝なんて来なければ良いのに」と、刻々と迫る夜明けを呪った。
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