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アタシはロイズさんに、自分の考えたアルバイトの話をしてみた。
アタシが考えた仕事は、2つ。
1つ目は、託児所。
大人達が働いたり家事をしたりしている間、アタシが広場で面倒をみる、という仕事だ。
「そうですね……。この村では、10歳以上の子供はもう立派な働き手ですから、農作業の手伝いをします。母親は小さい子の面倒を見ながら家事をしていますが、誰かがみてくれれば助かるでしょうね」
「森に行っちゃって危ない目に遭った子もいるって聞いたんですけど……」
「ええ。そういう意味でも、頼めるなら頼みたい、という家はあるかもしれません。問題は……そうですね、チヒロさんが子供たちとうまくやれるか、ということですが」
「自信はあるんですけど……任せてもらえるでしょうか?」
「では、午後は子供のいる家を回ってみましょうか。今日、子供たちと遊んでみてはどうですか?」
「はい! よろしくお願いします!」
アタシが頭を下げると、ロイズさんは「ほっほっほっ」と楽しそうに笑った。
そして2つ目、お弁当のデリバリー。
牧場のおっちゃんが「肉が固い」って淋しそうだった。
アタシが各家庭からできたての弁当を預かって届ければ、働いている人達も喜んでくれるんじゃないかな?
「それは面白そうですね。しかし、小さな村と言ってもかなりの数がありますよ? チヒロさん一人で運べるかどうか……」
「あの、庭の隅にあったあの……荷車、お借りできますか? あれに載せればお弁当20個ぐらいなら運べると思うんです」
「なるほど、なるほど。じゃあそれも、今日の午後に村人に伝えてみましょうか」
ロイズさんは頷くと、またも「ほっほっほっ」と楽しそうに笑った。
「面白いことを考えますね、チヒロさん。それに、村のために働きたいと言って下さるお気持ちが、本当に嬉しいですよ」
「あ、あはは……」
妙に褒められて、アタシは思わず変な声で笑ってしまった。
その日の午後……アタシはロイズさんと一緒に、村中の家を1軒1軒回りながら、一生懸命に説明した。
でもやっぱり、『巫女様に仕事をさせるなんて』と言って遠慮されてしまった。
それでもしつこく、『働きたいんです!』とアタシは食い下がった。
同名のやっぱり異世界トリップをしてしまった小学生が、顔面が異様にデカいお湯屋の女社長に『ここで働かせてください! ここで働きたいんです!』って、必死に直談判した気持ちが痛い程分かった。
その結果、ついにアタシは念願の仕事に就く事に成功したのである。
今日、夕方まで子供たちと遊んでみたんだけど、わりとすぐに懐いてくれたからかも。
動物は駄目だったけどね。あはは。
その様子を見て、お母さん達も安心してくれたみたいだ。
よーし、明日は初仕事だー!
こうして、アタシの3日目はとても充実したものとなり、気持ちよく終わった。
~ 5th Scene End ~
★チヒロの【 Key word 】を必ず記録しておいてください。
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