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……何言ってんだ、アタシ。呑まれてる場合じゃない。
アタシはティルバ連合のスパイなんかじゃない。絶対に違うんだから。
でも、徐々に蓄積されていく疲労と早く開放されたいと言う気持ちから『罪を認めてしまえ』と囁く裏の自分が顔を出す。
厳しい尋問の末、それに耐え切れず罪を認めてしまう冤罪者の気持ちが何となく分かってしまった。
この時間から、空間から、目の前の男から楽になりたいと心から願ってしまう。
もしかしたら、フランツ副隊長は尋問のプロなのかもしれない。
この青年からは、グレッグや他の騎士達からは感じられなかった、只ならぬ雰囲気が溢れ出ていた。
もしかすると、レトリバー隊長以上かもしれない。
この若さで討伐隊の副隊長を任されているのも納得がいく。
気をしっかり持って、対峙しなければ。
このまま、≪ 69 ≫ に進んでください。




