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「しばらくゆっくり休まれたら、こちらの方で王国へ向かう手配などを、と考えていたのですが……」
「いえ、そこまで甘える訳にはいきません。ただでさえ、こうして御馳走になっているのに……」
「それはそうですが……あなたは我々の村の恩人。労働などさせる訳には……」
「いえ……働かざる者、食うべからずです!」
ガッと拳を握って力説すると、テレサさんがぷっと吹き出した。
ロイズさんが不思議そうにテレサさんを見つめる。
「あなた……こんなに言ってらっしゃるんですもの。協力してさしあげたら?」
おおっ、テレサさん!
フジサキにフリルのエプロンを着せることといい、なかなかのツワモノだとは思ってたけど。
「私としましても、何かお仕事を頂けましたら……」
アタシの隣に座っていたフジサキも頭を下げた。
「しかし……われらの家でゆっくりと過ごされればいいものを……」
「でも、チヒロさんは、それじゃあ困るのでしょう?」
「……はい」
アタシが頷くと、テレサさんはにっこりと微笑んだ。
「それに……あなた、ご自分のお仕事を手伝ってくれる人が欲しい、とおっしゃってませんでした? フジサキさんにお願いしたらどうかしら。フジサキさんも、私のお手伝いよりはあなたのお手伝いの方がやりがいがあると思うのだけれど」
「いえ、野菜の下ごしらえやスープのだしの取り方など、とても勉強になりました。テレサ様には深く感謝を……」
こら、フジサキ! 今テレサさんがロイズさんを説得してくれてるところなんだから、変なチャチャを入れるなよ。
アタシはドンとフジサキを肘で小突いたけど、フジサキは「何ですか?」というような顔をしていた。
うーん……。空気が読めるのか読めないのか全くわからんな。
「仕方ないですね……。では……考えてみましょうか」
ロイズさんはふう、と溜息をつくと、しぶしぶ頷いた。
やったぜ! ありがとう、テレサさん!
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 金 】を失いました。
★チヒロは【 Key word 】の1つ、【 賃 】を手に入れました。
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